映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』解説・あらすじ
映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』とは
にいさとる氏原作。2021年にマガジンポケットで連載が開始されると、若い世代を中心に大きな反響を集め、翌年には「全国書店員が選んだおすすめコミック2022」受賞、24年にはTVアニメ化を果たし各配信サービスで視聴ランキング上位を席巻。25年4月期には早くもTVアニメ第2期が放送された。
映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』監督・脚本

『ブルーピリオド』『サヨナラまでの30分』などの萩原健太郎監督作品。脚本は『ハケンアニメ!』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞した政池洋佑が務める。
映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』キャスト
ケンカの強さだけを信じて街の外からやってきた風鈴高校1年・桜遥(さくらはるか)役に水上恒司、桜を真っ先に慕い、ケンカはめっぽう弱いが情報収集に長けた楡井秋彦(にれいあきひこ)役に木戸大聖、頭脳明晰かつカンフーや合気道を彷彿とさせる独特のケンカスタイルで右目の眼帯がトレードマークの蘇枋隼飛(すおうはやと)役に綱啓永、風鈴高校のてっぺんである梅宮一を崇拝する荒くれものの杉下京太郎(すぎしたきょうたろう)役にJUNON(BE:FIRST)。風鈴高校3年で四天王の1人、防風鈴きっての武闘派・柊登馬(ひいらぎとうま)役に中沢元紀、風鈴高校のてっぺんを意味する総代を務める梅宮一(うめみやはじめ)役に上杉柊平が参戦。
風鈴高校がある東風商店街の一角に店を構える「喫茶ポスト」で働き、桜たちを日々見守る喫茶店員・橘ことは(たちばなことは)役に八木莉可子。街を守る不良軍団<防風鈴>を狙う<獅子頭連:シシトウレン>の頭取である兎耳山丁子(とみやまちょうじ)役に山下幸輝、<獅子頭連>の副頭取で、兎耳山に忠実なナンバー2の十亀条(とがめじょう)役に濱尾ノリタカの出演が決定。
映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』あらすじ

ケンカだけが取り柄の孤独な高校生・桜遥は、不良の巣窟と恐れられる風鈴高校のてっぺんをとるため、街の外からやってきた。そこで桜は、風鈴高校の生徒たちが<防風鈴=ウィンドブレイカー>と呼ばれ、街を守る存在へと変貌を遂げていたことを知る。
桜は戸惑いながらも防風鈴のメンバーとして、楡井秋彦、蘇枋隼飛、杉下京太郎ら仲間と共に街を守るための闘いに身を投じていく。そんな中、越えてはいけない一線を越えたことをきっかけに、力の絶対信仰を掲げ、最凶集団<獅子頭連>が、防風鈴を新たな標的として動き出していた…!
「俺はひとりでてっぺんをとる」と言い放ち、周囲と衝突してばかりの桜だったが、ある時街に乗り込んできた獅子頭連に楡井を傷つけられてしまった。
映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』見どころポイント

度肝を抜く今までにない不良映画
萩原健太郎監督によると、映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』は”ヤンキー映画”という一見すると前時代的なジャンル映画への挑戦状だということ。まさに、今の時代に必要とされているヤンキー/青春映画と言えそうです。
テーマ性が響く
強さとは何か、てっぺんとは何か。テーマの強さが映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』の魅力。町を守る、大切なものを守るというテーマは、今までの激突ヤンキー映画とは一線を画しています。ですが、ちゃんと激突シーンもあるのもお約束。
作り上げた街の美術的価値
映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』で一番目を引くのは、そのカラフルな色彩と緑あふれた美術でしょう。沖縄で街ごと作ってしまったオールロケの力は大きいです。今まで見たことのない町が広がっています。ストーリーと背景がぴたりと一致しているところにも注目です。
くっきりとしたキャラクター
ずっと一人だけで生きてきて、風鈴高校でてっぺんになることしか考えなていない桜をはじめ、登場人物はいずれも印象的な人物ばかり。課題と問題を抱え、悩みつつ成長を遂げていきます。
信念対信念
けんかや暴力でてっぺんを取る基本は、融和や平和に変化しているのが特徴。一人一人が信念を持ち、何を大切にしていくのかをはっきりさせていくのがストーリーの要です。
逆スタイリッシュ
カッコ良さも、お洒落なところもあるけれど、むしろスタイリッシュを排して、独自の粋を貫いているところが、映画『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』の極め付きのところ。主人公の行動原理は「ダサくない」こと。その辺りの何がダサくて、何が粋なのか、見ている側にも考えさせられるところがあります。
『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』映画レビュー

『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』は、新しいものを作ってやろうという製作陣の思いを強く感じた作品だ。今年は一部で邦画元年と呼ばれるほど、新しさとレベルの高さを感じさせる作品が多かった。『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』もまた、その新しさと力を担う記念碑的作品だ。
不良映画は、今まで数限りなく作られてきたけれど、コンセプトは同じ。てっぺんを目指す、対立、やりこめるストーリー。『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』も、基本路線は変わらない。今までひとりぼっちだった主人公の桜遥(さくらはるか)は、満を持して不良学校として名高かった風鈴高校へ入学してくる。彼は不良のてっぺんを目指している。
ところが風鈴高校が不良の牙城だったのは二年前まで、風鈴高校の高校生たちは、今では<防風鈴=ウィンドブレイカー>として活動していた。目的は街を守ること。見回りをするのが主な役割だ。桜はかたくなに一人てっぺんを目指そうとするが、徐々に周囲の受け始めていく。
新たなルールと新たなテーマは原作通りだが、その描き方は一目でわかるほど斬新だ。吹き抜ける風とデザイン、色使いと柔らかな描写の独自性は忘れられない印象で映画を彩っている。『WIND BREAKER ウィンドブレイカー』以降、不良映画は殻を抜け出し、様々な芳香へと自由にはばたくのではないか。
『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
公開日:2025年12月5日(金)公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©表記:©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会



