『エクソシスト 信じる者』映画レビュー 数々の出来事の奥に透ける悪魔の正体

悪魔はいる。どこにでもいる。時には悪魔に負けてしまうこともあるだろう。しかし、打ち勝つこともできる。『エクソシスト 信じる者』は、世界に巣くう悪と、それに対抗する人間の力を強く表現している。

事件が次々に起きる。展開が早く、総力戦の悪魔祓いのシーンまで興味を持続させる。その特徴は、新基軸のモダン・ホラーで、興行面でも成功を収めているブラムハウス・プロダクションズ製作の作品のものだ。ブラムハウス・プロダクションズと言えば、最近でも『ゲット・アウト』、『インシディアス』シリーズ、今年のスマッシュヒットの『M3GAN ミーガン』など、面白さに定評がある作品が多い。

『エクソシスト 信じる者』も、怖さと興味深さが、ちょうどよくブレンドされている。ラストまで、観客を揺さぶり続ける手腕は、悪魔を題材にとった映画のおどろおどろしさだけでなく、それ以外の要素も多い。

母親のいない子ども、思春期、娘と父との確執、二人の少女の失踪、森の探索。そして、悪魔祓いの本番は特に、えっ? こんな人が? という意外性がある。盛りだくさんの出来事が、興味を持続させる。

そして、1973年製作の名作ホラー映画『エクソシスト』に登場したエレン・バースティン演じるクリス・マコニールの登場、活躍が作品の要だ。

失踪する娘アンジェラ(アン・ダウド)の父ビクター(レスリー・オドム・Jr.)は、当初は、超自然なことは信じなかった。それを、「信じる者」に導く役として、クリス・マコニール以上の存在はないだろう。

最初にわたしは、「悪魔はいる」と断言したけれど、『エクソシスト 信じる者』を最後まで見ると、それがわかるような気がした。今までの悪魔を題材にとった作品群があいまいにしていたところを、明瞭に提示している。そこには、いさぎよさがある。あなたは、どこにでもいる存在に気づけるだろうか。

監督は、『ハロウィン』シリーズのデビッド・ゴードン・グリーン。

エクソシスト 信じる者
12月1日(金)より全国公開
配給 東宝東和
©Universal Studios. All Rights Reserved.
監督・脚本:デヴィッド・ゴードン・グリーン製作:ジェイソン・ブラム製作総指揮:ダニー・マクブライド出演:レスリー・オドム・Jr、アン・ダウド、ジェニファー・ネトルズ、ノーバート・レオ・バッツ、リディア・ジュエット、オリヴィア・オニール、エレン・バースティン