『金髪』解説・あらすじ・映画レビュー

映画『金髪』解説・あらすじ

映画『金髪』とは

映画『金髪』は、三代⽬ J SOUL BROTHERS・ソロアーティスト活動を中⼼に、俳優としても話題作への出演が続いている岩⽥剛典を主演に迎え、ごく普通の中学校教師と彼を襲った出来事を描いた意欲作。監督は『決戦は⽇曜⽇』(22)の坂下雄⼀郎氏。先ごろ行われた第38回東京国際映画祭2025でコンペティション作品として選出。観客賞を受賞しました。アジア最⼤の企画マーケット“⾹港アジア・フィルム・ファイナンシング・フォーラム”(HAF)のIDP 部⾨、企画⼤賞を受賞。


キャストは岩⽥剛典ほか、流浪の⽉』(22)の⽩⿃⽟季、『あのこは貴族』(20)の⾨脇⻨、⼭⽥真歩、⽥村健太郎、内⽥慈が脇を固めています。題材は、校則、教師のブラックな職場環境、暴⾛するSNSやネット報道という現代社会の問題を題材に、大人になりきれない教師が生徒たちに振り回されながらも成長していく作品です。

映画『金髪』あらすじ


中学校教諭の市川(岩⽥剛典)が勤務する公立中学校で、市川が担任クラスの生徒数十人が髪を金色に染めて登校してきた。発起人の板緑(⽩⿃⽟季)をはじめとした生徒たちは校則への抗議だという。初めは余裕の表情を見せていた市川だったが、騒ぎは大きくなり、様々な表情を見せ始める。その後市川は窮地に陥ることになる。

『『金髪』映画レビュー

人にどう見られているのか、人は気にする。人にどう見てほしいのか。自分は自分をどう見ているのか。それも大事だったりする。自分は世界に対してどういう役割を持っていて、何をどうできるのか。それも大切だ。

そんな数々のテーマを一つの映画に集約するなんて、普通に考えたら相当難しいことだ。それをなんなくやり遂げてしまったのが、映画『金髪』だ。

『金髪』の主人公は教員として勤め始めて7年目の中学校教師の市川(岩⽥剛典)。生活は安定し、彼女もいる。仕事にもそれなりに誇りを持ち、やり過ごし、うまくやっていた。彼女との関係も問題はなかった。何でも話せる友人もいる。そんな彼の平常運転の世界に襲ってきたのは、クラスのかなりの生徒が金髪に染めて登校してきた出来事だ。その出来事をきっかけにして彼は揺れ始める。

起こったことへの対処も、最初のうちはそれほど難しくは見えなかった。ところがそうはいかない。そこからの状況と、市川の心境の変化展開の様相が、『金髪』の見どころだ。

シンプルな出来事を描いているようで、底に流れるものは先鋭的で大胆で繊細だ。個人に起こる出来事を描きつつ、実際は私達を取り巻く大きな世界にまで大波は届いてくる。見えているようで見えていなかった世界も描きこまれている。

今までこんな映画はあっただろうか。多分私が知らないだけできっとあったかもしれない。少なくともこんな離れ業ができるのは、繊細で個人と個人の間や、個人と世界の世界を描くことに定評がある日本映画でしか見ることができない気もする。

『金髪』の市川先生の発言の日本と日本語を駆使した微妙な言い回しや語尾の変化過程も細かい。映画には、大きな物語も華麗な舞台も必要がない。そこに変化と過程があれば映画は成り立つ。そんな潔さすら感じられた。

金髪
2025 年 11 月 21 日(金)、全国公開
配給:クロックワークス
©2025「金髪」製作委員会
主演︓岩⽥剛典
⽩⿃⽟季、⾨脇⻨、⼭⽥真歩、⽥村健太郎、内⽥慈
監督・脚本︓坂下雄⼀郎 ⾳楽︓世武裕⼦

2025 年/⽇本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/103 分/G
公式サイト:kinpatsumovie.com
公式X:@kinpatsumovie #映画⾦髪