『おいしい給食　炎の修学旅行』映画レビュー

市原隼人主演のコメディ映画シリーズ『おいしい給食』がまたまた攻めてきた。昨年公開の『劇場版　おいしい給食 Road to イカメシ』に続く、劇場版第4️弾『おいしい給食　炎の修学旅行』である。

今から25年前の1990年、函館の中学校の教師、甘利田幸男が主人公。おいしく食べる給食が大テーマだ。甘利田幸男にとって、給食は大好きで、この上なく大切なもの。給食の献立を朝から再確認し、今日の給食をどのようにおいしく食べるか思案する。対する生徒の粒来ケン（田澤泰粋）は、給食アレンジの天才。彼との給食アレンジバトルには熱気がこもる。

だが、『おいしい給食』シリーズは食の大切さを描くだけではなく、教育や人間的な生き方などの課題を、映画で描ける限界にまで挑戦している。コメディの極地を目指した笑いとともに、志の高さもみなぎっている。修学旅行の行き先は青森・岩手。行く前からトラブルが続出。その上、ケンが土産店でした買い物のせいで行き合わせた他校の生徒との間で問題が発生してしまう。それがきっかけで、青森の別の中学との合同給食を行うことになる。

今回の攻めテーマの一つは、「人それぞれ」だ。甘利田幸男の考え方、相手の考え方、教育方針が違う。自信を持って自で分の考えを尊重できるかどうか。それが試されるわけだ。そして、テーマはそれだけではない。修学旅行と、90年代の中学生活を通して、郷愁だけでない新鮮な経験が残るような味わいがある。

給食前のお約束、甘利田先生のパフォーマンスも健在。テレビドラマシリーズ1作目のヒロイン・御園ひとみが再び登場。おなじみのメンバー、いとうまいこ、六平直政、高畑淳子、小堺一機の面々も映画の満足度を強力にサポートしている。監督は前作に続き、西野龍太郎が務めている。今回は、修学旅行なだけに、ご当地グルメにも注目。
（オライカート昌子）