
大ヒットを記録してきた『ジュラシック』シリーズの第七作目、『ジュラシック・ワールド 復活の大地』は、シリーズ初期のおもしろさを復活させようとした原点回帰のアドベンチャー大作だ。監督に、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』『ザ・クリエイター 創造者』で、日本でも人気のあるギャレス・エドワーズ。
熟練の特殊工作員ゾーラ・ベネット、信頼する傭兵のダンカン・キンケイド、古生物学者のヘンリー・ルーミス博士が中心となり、心臓病に奇跡的な治療効果をもたらす新薬を開発するため陸・海・空の3大恐竜のDNAを確保するために旅にでる。製薬会社の代表マーティン・クレブス(ルパート・フレンド)が依頼してきた案件だ。最初は話に乗らなかったゾーラだが、莫大な金額を提示されるや受け入れることにした。
無謀だが不可能ではない。舞台は前作の『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』の5年後。恐竜たちは、気候変動の影響で絶滅の危機にあった。恐竜を特別視するのは古生物学者のみ。ニューヨークに突然弱っている恐竜が現われても、人々は足を止めることもない。一般の人々にとって恐竜は、ありふれていて目障りで有害な存在となっていたことだった。
そんな人々の考えに関わりなく、人の侵入が禁止された”禁断の島”では、恐竜たちは野生動物として悠々と生きている。主人公たちは、危険な場所に足を踏み入れ、恐竜たちに見つからないように秘密裏に近づき、生きたままの恐竜のDNAを採取しようとする。ターゲットは最大恐竜。予想外の戦いもあれば、犠牲も発生する。
映画の見せ場は、一難去ってまた一難の、危機的状況大盤振る舞いだ。単純なストーリーには練りに練ったプロットや考え過ぎ、作り過ぎの余剰はない。90年台のエンタメ映画に戻ったようだ。脚本に「ジュラシック・パーク」「ロスト・ワールド ジュラシック・パーク」のデビッド・コープが28年ぶりにシリーズに復帰したのも理由の一つだろう。
前作のイナゴやクローンなどごった煮要素が不評だったせいもあるかもしれない。この原点回帰戦略は、『ジュラシック・ワールド 復活の大地』が、全米のみならず世界中でヒットしているところからも成功しているようだ。
自然対人間、そして人間性の欠けた問題人物の出現というテーマもシンプルでわかりやすい。広大な大海原やジャングルでの冒険はダイナミックで臨場感もたっぷりある。シリーズのお約束の狭い屋内での恐竜との追いかけっことかくれんぼもドキドキさせてくれる。映画は単純に楽しむもの。そのシンプルなルールを改めて確認させてくれる作品。
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
8月8日(金)全国ロードショー!
©2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
配給:東宝東和-
【出演】スカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ルナ・ブレイズ、デヴィッド・ヤーコノ、オードリナ・ミランダ、フィリッピーヌ・ヴェルジュ、ベシル・シルヴァン、エド・スクライン【監督】ギャレス・エドワーズ【脚本】デヴィッド・コープ、マイケル・クライトン【キャラクター原案】マイケル・クライトン【製作】フランク・マーシャル、パトリック・クローリー【製作総指揮】スティーヴン・スピルバーグ、デニス・L・スチュワート、ジム・スペンサー日本語吹替版キャスト:松本若菜、岩田剛典、吉川愛、楠大典、小野大輔、高山みなみ、大西健晴、玉木雅士、三上哲、水瀬いのり