イ・ビョンホン、パク・チャヌク監督来日! 『しあわせの選択』イベントレポート

『しあわせの選択』のイ・ビョンホン、パク・チャヌク監督来日イベントレポートです。第83回ゴールデングローブ賞ノミネート
作品賞・主演男優賞【ミュージカル/コメディ部門】 非英語作品賞。

イ・ビョンホン、パク・チャヌク監督来日! 『しあわせの選択』イベントレポート

パク・チャヌク監督はカンヌ国際映画祭の審査委員長に選出された

パク・チャヌク監督は今年のカンヌ国際映画祭でアジア人としては二人目、韓国人としては初の審査委員長に就任おめでとうございます。どんなお気持ちですかという質問に、パク・チャヌク監督は、「ほかの方が審査員が選ばれどんな作品がノミネートされるのかわくわくしています」とのこと。

イ・ビョンホンさんは、「お久しぶりです。僕は日本で僕の映画が公開されるたびに日本に来て、ファンの皆さんとともに映画を見ていたのですが、このようにプロモーションで来るのは9年ぶりとなります。このような光景を見て感慨深いものがあります。韓国で映画が公開されると、常に舞台挨拶をするんですが、その姿を見るために日本から韓国へお越しになる方々いらっしゃるんです。すでに韓国で作品をご覧になったファンの方も少し目につきます。皆様にまたお会いできてとても嬉しいです」

『しあわせの選択』は最初はアメリカ映画として企画した


パク・チャヌク監督は、原作の「斧」に惚れ込んで、何とかこれを映像化したかったとお伺いしていますが、どんなところからこの作品に惹かれたのか、2020年代を舞台にしていますが、意識したことは?

「この原作を読んで感嘆したことがあります。失業した人が仕事を取り戻すために努力するというのはよくある話なのですが、このストーリーは主人公がある選択をするんですね、その選択の仕方が特別でした。もし仮に仕事があってそこに別の誰かがついていたら、その人が病気になるのを待ってその職が空けば、自分がそこに入る。そういうことは誰もが考えると思うんです。この主人公が考えた計画というのは、またそれとは違うものなんですね。たくさん頭をひねって頭を使って、ある奇抜な方法をとるというところにとても惹かれました。

そしてこの作品は当初アメリカ映画として作る予定でした。15年くらいかけて努力を重ねてきたんですけれど、なかなか出資がかなわずに結局は韓国映画として作ることになったんですが、その間長い歳月が経ちました。アメリカ映画から韓国映画に変わったというのは一つの運命だったのではないかなと思います。というのは、韓国映画になったことでイ・ビョンホンさんに出会えた。イ・ビョンホンさんと出会うために韓国映画になったのではないかと思いました」

『しあわせの選択』は不思議な映画


イ・ビョンホンさんは9年ぶりの歓迎をどう思いますか? という質問にイ・ビョンホンさんは、「皆さんにとっても会いたかったなと思います。この映画を通して韓国のファンの方にお会いしましたし、イギリス・カナダ・アメリカの観客の皆さんに会ったのですが、ついに日本の観客の皆さんにこの映画を見ていただくことができるようになりました。皆さんがこの映画を見てどのように感じるのか、皆さんのリアクションがとても気になります。僕たちが意図していたもの、この映画を通して見せようと思っていたもの、そういったすべての感情を皆さんが受け入れて持って行っていただけたらいいなと思っています」

役作りで意識してきたことは?という質問に「この映画には少し変わっているところがあります。とても面白いんです。おもしろくて笑えるんですけど、ふと寂しい気持ちになって憂鬱な気分になるんです。かと思ったらまた爆笑になる。そんなとても不思議な映画なんです。

おそらくこの映画はパク・チャヌク監督の作品で最もユーモアあふれる映画ではないかなと思っています。ですけれど、演技する僕にとっては笑うシーンがとても多いじゃないですか、ですが笑わせようという風に撮影中にあまりにも意識するということについては警戒してました。なぜなら笑わせようとする意図が見えるとみている観客は一歩引いてしまう。だから本当の感情で演じようという努力をしました」

シリアスとユーモアは切り離せない


シリアスとユーモアのバランスについて、パク・チャヌク監督は、「割合比率配分を考えると、全く異なる二つのものが混ざり合うことを前提にしてしまうと思ったんですね。ですが私が考えたのは、混ざり合うということではなくて、両者は切り離せないもので、ひとつのまとまり、つまりひとつのことなんだということでした。

わたしたちの人生もそういうものだと思います。ただ悲しいだけの瞬間もないですし、おもしろいだけの瞬間もないですし、少し深くのぞき込んでみると両者は共存していると思うんですね。この作品もそれと同じことと言えるんだと思います。笑えて面白いなと思っていると、ある時悲しいと思ったり、また悲しいと思っていると滑稽に思えてきたりしますので、一気に様々な感情が押し寄せてきますので、それが一つとなって機能してほしいと願っていました」

真摯な態度が見える


お二人の来日を祝して国内外で活躍中の河合優実さんが、お祝いにかけつけました。お祝いの言葉として「こんにちは、日本での公開おめでとうございます。パク・チャヌク監督、イ・ビョンホン産の新作を待ち望んでいる方が多いと思います私が代表してお祝いに伺いました。

おもしろかったです。私の世代にとってはレジェンドのお二人なので、お二人がこんなにも挑戦的に楽しませてくれて映画の世界に迷い込ませてくれてそのことがとてもうれしかったです」

パク・チャヌク監督は、「レジェンドと言ってくださいましたが、言い方を変えると年寄りとしては面白い映画を撮ったなと意味かなって思ったんですが、いずれにしてもうれしいです」。それに返して河合優実さんは、韓国語で「違います」と返していました

イ・ビョンホンさんは、河合優実さんについて、「新しい方なんですが、年齢に比べて本当に力があるなあと思っていて、そんな方がいらしていただきうれしいです。僕は映画をたくさん見るんです。河合優実さんが出演した映画を何本見たかを覚えていないのですが、とにかくいくつかを拝見させていただきました。映画を見るとき、その俳優がどのように演技をしているかを見ると、その俳優の映画に対する真摯な姿が見えることがあるんですが、そのような姿を持っていらっしゃる、そんな若い俳優さんが日本の中に何人かいらっしゃるのですが、その中のお一人が河合優実さんなんです」

河合優実さんは、うれしいですねと振られて、「ちょっと信じられないです」と涙ぐんでいるのが印象的でした。

学びの過程は終わらない


河合優実さん差からの質問は、「長いキャリアがあるお二人ですが、この映画を作って新たに学んだことなどありますか?新しく吸収したことが何かあったら教えてほしいです」というもの。

パク・チャヌク監督は、「長く経験は積んでいますか学ぶことあるのかということですね。そして学ぶことは常にあります。というのは作品ごとに新しい俳優と出会うことになるからです。監督にとって俳優というのは何よりも大切なものなんです。その俳優さんに出会いその俳優さんにあった演出をすべきだと思うので。その俳優さんが今まで見せてきたことのない姿や一面を見せたいと思っていますので、その俳優さんについて研究したり会話をしたり新しい面や得意なものは何なのかいつも探しています。それが私にとっての学びの過程になります」

イ・ビョンホンさんは、「一緒に共演している俳優から学ぶこともあります。パク監督とは25年前にすでに作品を作ったこともありますし、またこの25年の間継続して近密な関係を維持してきた監督さんです。今回改めて一緒にお仕事することによって監督さんの仕事に関する情熱ですとか執拗さを見ることによって学ぶことが多いなと思いました。自分が求めるものを得るまでは絶え間なく継続して試行錯誤する試してみる姿を見ることによって自分自身の映画に対する姿勢について反省することもありましたしもっとしっかりしなくてはならないと改めて感じるそんな時間でした」

映画館を守りたい


いまアジア映画は注目されていますが抱負はありますかという質問に、パク・チャヌク監督は、「まずは空間、映画館を守りたい。新しいことというよりは、ずっと持ち続けてきたものを守りたいというのが課題なのではないかと思っています。つまりは映画は映画館で見るものだという常識が今崩れつつあるような気がするんです。ですので最上の環境で楽しむためには映画館に来るべきだという命題を観客の皆さんにも切実に感じていただきたいと思っています。わたしとしては映画館で見るべき映画、映画館で最上の状態で見られる映画を作りたいと思っています」

イ・ビョンホンさんは、「僕自身はものすごい目標を持って演技生活をしてきたというわけではありませんし、おそらく今後もそうだと思います。もしあるとすれば人間が出すことができる新たな感情のスタイルというものには何があるのかということを探し続け、それを経験し表現してみたい。そういった思いがあります」

それに応えて河合優実さんは、「わたしはまだまだ若輩者でそのたった数年の間でも監督がおっしゃったような映画の形が変わったり、映画というものが危機に瀕しているような感覚があるので、これからどういう形で残していくのかということに取り組んでいきたいと思います。

笑える場面は笑ってほしい

最後の一言メッセージで、パク・チャヌク監督は、「以前のわたしの映画をご覧いただいている方は、その影響ですでに私の作品に対して先入観を抱いていらっしゃると思うんですが、この作品を見ていただくと、とても笑える面白い場面がたくさんあります。笑ってほしいと思って作っていますので、おもしろいな笑えるなと思ったら首を傾げたり、ためらったりせずに楽しんでほしいと思います」

イ・ビョンホンさんは、「この映画のテーマについては、重かったり憂鬱なそんな感じもあるかもしれませんが、笑えるシーンというのは必ずあると考えているので、みなさんは笑えること、ブラックコメディ、あるいは悲しいな、寂しいなといった感情ですとかが一つになっているということです」と答えていました。

しあわせの決断
3.6(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
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監督・脚本:パク・チャヌク
原作:ドナルド・E・ウェストレイク著『斧』(文春文庫)
出演:イ・ビョンホン、ソン・イェジン、パク・ヒスン、イ・ソンミン、ヨム・ヘラン、チャ・スンウォン
2025年 | 韓国 | 韓国語・英語 | カラー | スコープサイズ |
139分 英題:NO OTHER CHOICE | PG-1