レディ・プレイヤー1は、ゴールデンウィーク映画の目玉の一つ。スティーブン・スピルバーグ監督が手がけた最新SFアドベンチャーです。ダイナミックな映画体験は、まさしくSFアトラクション映画。映画レビューとともに10倍楽しめる見どころを紹介します。
レディ・プレイヤー1とは
レディ・プレイヤー1の原作は、アーネスト・クラインの『ゲームウォーズ』(2011年)。
舞台は2045年のアメリカ。最大級の都市、オハイオ州コロンバスで叔母と住む17歳のウェイドが主人公。VRのアバターで、好きな人物になり仮想世界のオアシスで過ごすこと。現実世界は荒廃していて過酷で悲惨。でも、”オアシス”では、自由に何でも創造できて、誰にでもなれて、どんなことも可能な世界です。『レディ・プレイヤー1』は、そこでのアドベンチャーと現実世界の両方が交錯しながら描かれています
レディ・プレイヤー1のあらすじ
2045年。世界では荒廃する現実社会をよそに、あらゆる人が”オアシス”で過ごしながら、そこでのどこまでも自由な仮想体験を楽しんでいた。その中でも、オアシスの創業者ハリデーが残した莫大な遺産を継承するためのイースターエッグ争奪ゲームゲーム”アノラック”の勝利を得ることがみんなの目標だ。
アノラックゲームは、三つのステージで三つの鍵を見つけることで、イースターエッグを見つけること。
各ステージに隠された鍵を見つけることで、次のステージへのヒントがもらえる。でもいまだ第一ステージのカーレースすら誰もゴールにたどり着けなかった。
ウェイドもレースに参加していたが、彼はクラッシュした車からコインを拾うのが目的。だが、ある日、彼は自分でも思いもしなかった方法で、ステージをクリアする最初のプレイヤーとなる。
5人の仲間と共に、企業ぐるみでイースターエッグを狙うIOIの攻撃をかわしながら、彼はステージクリアを狙う。その道は、次第に現実世界とも深くリンクしていく。
レディ・プレイヤー1の魅力 その1
スティーブン・スピルバーグ監督の娯楽作でしか見ることができない技が満載!
スティーヴン・スピルバーグ監督がSF映画を監督するのは、『宇宙戦争』(2005)以来。娯楽超大作を監督するのは、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 』(2008)です。
最近、じっくり見せるタイプのヒューマンドラマを作ることが多かったスティーブン・スピルバーグ監督ですが、久しぶりに、往年の娯楽作品で見せてきた技を目にすることができます。素早いカットで短時間で莫大な情報を盛り込みながら、映画世界に私たちを放り込む方法は、巨匠というより、職人芸。
特に顕著なのが、映画の背景を紹介するオープニングシークエンスと、ラストの圧巻ぶりです。どこか温かみを感じさせる映像ともに、まさしくスティーブン・スピルバーグ印の映画です。
レディ・プレイヤー1の魅力 その2
渋みのあるキャスティング
旬のスターなら、いくつもの映画で見ることが普通。何度も同じ俳優を見るのは、大好きでない限り、飽きてしまったなと思うことも度々。レディ・プレイヤーワンでは、実力は折り紙つきながら、そこまで有名ではないタイ・シェリダン(ウェイド)とオリヴィア・クック(サマンサ)を起用しています。新鮮な二人によって、映画世界にすんなり招き入れられてしまいます。
それとは逆に、彼らを支える助演の俳優には、見慣れた実力派を配しています。一人は、イノベーティブ・オンライン・インダストリーズ(IOI)の社長のソレント役を演じる、ベン・メンデルスゾーン。最近では公開中の『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で国王ジョージ6世を演じています。
驚かされるのは、国王ジョージ6世とソレントは、髪型から衣装まで外見は、ほぼ同じ。ところがノーブルで気高い国王と、自意識過剰が鼻につくソレントと中身は180度違うのです。その違いを魔術のようにスムースに演じ分ける技術は相当なもの。彼が登場するたびに、嬉しくなる俳優です。
次に、ハリデー役と彼のアバター、アノラックを演じる、マーク・ライランス。スティーブン・スピルバーグ作品としては、『ブリッジ・オブ・スパイ』、『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 』に続いての三度目のタッグとなります。
重要なハリデーを持ち前の繊細さと、温かみを感じさせる演技で支え、物語世界の質感を決定しています。
レディ・プレイヤー1の魅力 その3
1980年代メインのポップカルチャーの引用
ヴァン・ヘイレンのジャンプから始まり、ホール&オーツのユー・メイク・マイ・ドリームで終わる。
イースターエッグ探索の最初のステージでは、カーレースが行われますが、見たことのある映画の風景が連続します。スティーブン・スプルバーグ自身の、『激突!』や『ジェラシック・パーク』。他にも『AKIRA』や『キングコング』も登場。
レディ・プレイヤー1のイースターエッグ探索アイテムとして映画から、ゲーム、本や音楽などの80年代メインにポップカルチャーの知識は必要不可欠。
見る側も知識があればあれば、ニヤリとする瞬間が増えるはず。でも情報量は膨大です。日本人では、バカル・バンザイを知っている人は限られているでしょう。
『バカルー・バンザイの8次元ギャラクシー』(1984)は未公開映画でビデオスルーでした。
(オライカート昌子)
レディ・プレイヤー1
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