『ベイビーガール』レビュー

まずは『ベイビーガール』の監督のご紹介。

ハリナ・ライン(監督/脚本/プロデューサー)
1975年、オランダ生まれ。
ヴィジョナリー(幻想的)な監督、プロデューサー、俳優、脚本家であり、
限界を押し広げる破壊的で挑発的な物語を創り出す能で知られている。
監督デビュー作『Instinct (原題)』(19)は、
ロカルノ国際映画祭でプレミア上映され、
ヨーロッパ映画賞最優秀新人賞にノミネートされてから、
アカデミー賞最優秀国際長編映画賞へのオランダ代表作品となる。
続くA24製作の『BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ』
(22)はSXSWでワールドプレミア上映され、
フィルム・インディペンデント・スピリット賞の
最優秀監督賞にノミネートされる。
俳優としては、ポール・ヴアーホーヴェン監督の『ブラックブック』(06)、
トム・クルーズと共演した『ワルキューレ』(08)に出演している。

映画『ベイビーガール』はエイドリアン・ライン監督の『ナインハーフ』や
同じオランダ出身のポール・ヴァーホーヴェン監督『氷の微笑』に似た
ヘンタイ映画! のような娯楽スリラーだ。

ただし、初っぱな、ニコール・キッドマンに
「旦那と19年間、一度もオルガニズムを感じたことない」と言われれば
多くの男性客はションボリしながら見ることとなる。笑
妙なところで共感を得る女性観客は俄然我が身のことだと身を乗り出す。

ニューヨークでCEOとして成功を収めたロミー(ニコール・キッドマン)は、
舞台演出家の夫ジェイコブ(アントニオ・バンデラス)や子どもたちに囲まれ、
誰もが羨むような生活を送っていた。
ある時、ロミーはインターンの青年サミュエル(ハリス・ディキンソン)から
目が離せなくなる。
サミュエルは彼女の中に眠っていた欲望を見抜いて挑発を仕掛けてくる。
行き過ぎた駆け引きをやめさせようとサミュエルに会いに行くロミーだったが、
逆に主導権を握られ、ふたりのパワーバランスは徐々に逆転していく。

「雷に打たれたような衝撃!」
「燃え上がる危険な誘惑のゲーム」
「私たちが求めるアドレナリンを与えてくれた」
「ニコール・キッドマンがすべてを賭けた」等々、
海外のメディアは大騒ぎだ。

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昨年のアメリカ映画界では、ベテラン女優の「逆襲」が目を見張る。
『ナイトビッチ』ではアカデミー賞の常連エイミー・アダムスが犬になった。
『サブスタンス』ではデミ・ムーアが全裸むき出しでアレになった。
負けじと『ベイビーガール』でもニコール・キッドマンが犬になった。

愛すべきヘンタイ映画『ベイビーガール』真の立役者は
キャスティング・ディレクターなのかもしれない。

キャスト、スタッフの過去作に
アントニオ・バンデラス、ニコール・キッドマンのほか、
トム・クルーズ、ペネロペ・クルス、、なんかの繋がりが透けて見えて
なんとも艶めかしいと思うのはワタシだけかな〜。

原題の意味は、かわい子ちゃん。
大胆不敵であまりのセクシーさに、ラストのシーンは忘れたが
たしか、TOKYOの人々は騒めくはずだ。

(武茂孝志)

『ベイビーガール』
3月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

監替/脚本:ハリナ・ライン
キャスト:ニコール・キッドマン、ハリス・ディキンソン、
アントニオ・バンデラス、ソフィー・ワイルド
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題:Babygirl
2024年|アメリカ|ビスタ|5.1ch|114分|PG12
字幕翻訳:松浦美奈
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