『死霊館 最後の儀式』映画レビュー 悪しきものを打ち砕く意思

『死霊館 最後の儀式』は『死霊館』ユニバースの完結編。『死霊館』シリーズは、実在の心霊研究家・エド&ロレイン・ウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ベラ・ファーミガ)の華麗な実録ホラーだ。今回はプロデューサー兼脚本家の一員として名を連ねているジェームズ・ワン監督が手がけた『死霊館(2013)』、『死霊館 エンフィールド事件(2016)』は、大ヒット。映画的評価も極めて高かった。『死霊館 最後の儀式』のはマイケル・チャベス監督だが、『死霊館 最後の儀式』は、シリーズ最高のヒットを飛ばしている。歴代ホラーとしても『IT イット “それ”が見えたら、終わり。(2017)』、『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019)』をしのぐオープニング興収をあげている。

『死霊館』シリーズはなぜヒットし、評価が高いのか。まず主演の二人、ベラ・ファーミガ パトリック・ウィルソンの堂々とした存在感があげられる。誰にも理解されない人知を超えた怪奇事件にさらされた人々が、最後に頼れるのがウォーレン夫妻。二人は任務に全力を尽くす。実在の民間ヒーロー的存在だ。


映画の本格的で丁寧な造りも、『死霊館』シリーズを際立つものにしている。『死霊館 最後の儀式』では、ジェームズ・ワン監督印の流麗なカメラワークは見られないものの、80年代に観客を招き入れる手腕は見事だ。まるでタイムトラベルしたように丁寧な設定に目がくらむ。怪奇現象に悩まされる前のごく当たり前の家族の姿は、80年代を代表するジョン・ヒューズ監督作品を見ているようだ。そんな幸せな大家族のところに魔が忍び寄ってくる。

恐怖は波状攻撃のようだ。しかも狙いはウォーレン夫妻の最愛の娘にもターゲットを定めてくる。最後は力づくのアクションシークエンスが待っている。意思の力対悪の力の総力戦は『死霊館』ユニバースの完結にふさわしい。

(オライカート昌子)

死霊館 最後の儀式
10月17日(金)全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2025 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved 
タイトル:『死霊館 最後の儀式』 ※原題『The Conjuring: Last Rites』
監督:マイケル・チャベス
脚本:イアン・B・ゴールドバーグ デヴィッド・レスリー・ジョンソン リチャード・ナイン ジェームズ・ワン
製作:マイケル・クリアー ピーター・サフラン ジャドソン・アーニー・スコット ジェームズ・ワン 
出演:ベラ・ファーミガ パトリック・ウィルソン、ミア・トムリンソン、ベン・ハーディ

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