映画『佐藤さんと佐藤さん』解説・あらすじ
映画『佐藤さんと佐藤さん』とは
佐藤という同じ苗字を持つ大学のサークルで知り合った二人が、交際・結婚・出産を体験するリアルなストーリー。岸井ゆきのと宮沢氷魚が夫婦役で初共演。「ミセス・ノイズィ」の天野千尋監督が、夫婦をテーマに描いている。「話す犬を、放す」などの監督・熊谷まどかが天野監督と共同で脚本を手がけた。先ごろ行われた第38回東京国際映画祭 2025で「ウィメンズ・エンパワーメント部門に公式出品され、各国の観客の好評を博した。
映画『佐藤さんと佐藤さん』あらすじ

佐藤サチ(岸井ゆきの)と、真面目な佐藤タモツ(宮沢氷魚)。性格は違うけれど気が合う二人は、大学のサークルで出会うと交際をはじめた。弁護士を目指すタモツは司法試験を受けるも不合格が続いていた。それでも諦めず挑戦を続けたいというタモツを支えるため、一緒に勉強しようとサチも仕事の傍ら司法試験の勉強を始めた。ところが、先に受かったのはサチの方だった。子どももできて、二人は結婚。それぞれが忙しい日々を送るうち、二人の関係のバランスが崩れ始める。
『佐藤さんと佐藤さん』映画レビュー 結婚という不意打ちアドベンチャー
映画『佐藤さんと佐藤さん』は二人の佐藤さんにまつわる結婚協奏曲だ。結婚は予測不可能なアドベンチャー。それをくっきりと印象的に描きだしている。

どこまでも明るいサチ(岸井ゆきの)と真面目で好青年のタモツ(宮沢氷魚)。大学のサークル「珈琲研究会」で出会った正反対な性格のふたりはなぜか気が合い、一緒に暮らし始める。塾講師として働きながら、弁護士を目指しているタモツは司法試験に失敗。合格するまでは結婚は考えていなかった。それなのに、予想外の出来事がやってくる。
先行き不透明さとアイロニーめいた出来事を丁寧に明るく豊かに描き、普通の生活で起こり得る多少の残酷さもまぶしている。残酷さは不意打ちでやってくるので、防ぎようがない。はたしてそれは悪いことなのか、いいことなのか。

語り口は隅々まで神経が行き届き、二人の旬の実力派俳優が奏でる協奏曲は音がいい。観客は、自分の結婚を顧みるだろうし、結婚をしていなくても結婚の現実を想像するとき、『佐藤さんと佐藤さん』を思い出すような気がする。日々のいらだち、よろこび、意味もなく比べること、すねる気持ち。最善を尽くそうとする試みなど、結婚のすべてを描き切っているからだ。
映画の中の時間は、22歳、27歳、30歳、31歳、32歳、33歳と経過していく。それにつれ、二人の表情、口調、関係も変化して行く。この結婚という普段着アドベンチャーは、挑むべきだろうか否か。冒頭の二重の自転車置き場のシーンは、結婚の真実を示唆しているような気がした。
佐藤さんと佐藤さん
11月28日(金) 全国ロードショー
(C)2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
配給:ポニーキャニオン
岸井ゆきの 宮沢氷魚
藤原さくら 三浦獠太 田村健太郎 前原 滉 山本浩司 八木亜希子 中島 歩
佐々木希 田島令子 ベンガル
監督:天野千尋
脚本:熊谷まどか 天野千尋 音楽:Ryu Matsuyama Koki Moriyama(odol)



