MEN 同じ顔の男たちとは 作品解説・あらすじ
MEN 同じ顔の男たち 監督・キャスト
話題作を送り続ける、A24が『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』に続き、美しくも怖ろしい映画を作り上げた。
アレックス・ガーランド監督作品。2015年長編デビュー作となるSFスリラー『エクス・マキナ』で第88回アカデミー賞R視覚効果賞を受賞。脚本賞はノミネート。
夫の死を目撃してしまったことで、心に傷を受け、田舎のカントリーハウスにやってくる女性ハーパー役に、ジェシー・バックリー。『ワイルド・ローズ』『ジュディ虹の彼方に』、NETFLIXオリジナル映画『もう終わりにしよう。』などに出演。、2021年マギー・ギレンホール監督作『ロスト・ドーター』でアカデミー賞R助演女優賞へノミネートを果たしている実力派女優。
家主のジェフリー役をはじめとして、様々な役を演じるのは、『007』シリーズのロリー・キニア。
MEN 同じ顔の男たち あらすじ
ハーパー(ジェシー・バックリー)は夫ジェームズ(パーパ・エッシードゥ)の死を目撃してしまったため、衝撃を受けていた。その心の傷を癒すため、イギリスの田園風景が広がるカントリーハウスに滞在することに。
500年以上の歴史を持つ豪奢な家に一人滞在し、安らぎを与えてくれる美しい田園風景を楽しむハーパーだったが、散歩h出かけた先の廃トンネルで不審な人物を見かける。その男は、廃墟と化した古い家の前にも姿を現し、ついにはカントリーハウスにも近寄り、家に侵入を図る。
警察に連絡することっで、男は逮捕されたが、ハーパーの前に現れる男たちは、みんなどこか不穏なものを感じさせるのだった。
MEN 同じ顔の男たちとは 映画レビュー
映画は、何かしら残してくれる。映画によっては、幸せ感覚だし、場合によってはトラウマになるほどの記憶だ。『MEN 同じ顔の男たち』は、その独特の個性によって、強烈な感覚を浴びせかける。前半は、自然と豪奢なマナーハウスの美しさを集合させた華麗な映像によって夢見がちにさせられる。
問題となるのは、最後の方のシーンだ。トラウマになるか、反対にトラウマ解消になるか、は、あなた次第だ。ちなみに私の場合は、”トラウマ解消”の方だった。
『MEN 同じ顔の男たち』の主人公、ハーパーは、夫の死を目撃したことによって心が傷つき、傷を癒すために、イングランドの田舎のマナーハウスにやってくる。
贅沢な心地良さが存分に味わえそうな、自然美にあふれた小さな村での滞在。ほとんど人に出会うことがないこの世の楽園のような場所。
ところが散歩に出た途中で、不気味な男の影が見え隠れするのに気づく。最初はそれほど気にしていなかったハーパーだったが、その男は、ついにマナーハウスの近くまでやってくる。
この時点で思い出させるのは、サスペンスの中でもかなり怖い類の「家屋侵入系」の映画群だ。『時計仕掛けのオレンジ』に始まって、『わらの犬』や、『ファニーゲーム』、『サプライズ』など、傑作も多いジャンルだが、最後にやりきれなさを感じさせる作品も多い。
ところが、『MEN 同じ顔の男たち』は、サスペンスジャンルでも一味違った作品で最近注目のA24が製作している。悪対善の単純さとは無縁だ。整然としたラビリンスに迷い込んだような風情が残る。
途中で挟みこまれる、ハーパーと夫の口論のシーンと、夫の最期への顛末。次第に男と女の、いや人間同士の決して折り合えない深淵が口を開いてくるような、不思議な感覚が襲ってくる。それは、男たちの顔がみんな同じということと、ハーパーがリンゴを庭のリンゴをもぎって食べるシーンが暗示している通りだ。
そして、問題のシーンがやってくる。
あのシーンをどう受け取るか。アレックス・ガーランド監督は、インタビューで、あのシーンは、見る人が持っている体験によって受け取り方が変わると話していたが、確かにそうだと思う。
待っているのはトラウマか、トラウマ解消か。トラウマ解消映画として見た場合でも、心に残ったゴミくずを一層するためには、あれほどの映像と、恐怖に近い強烈な覚悟が必要なのかもしれない。作った側の攻めの姿勢に感服する。。
MEN 同じ顔の男たち
全国公開中
©️2022MEN FILM RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
配給:ハピネットファントム・スタジオ
監督・脚本:アレックス・ガーランド製作:アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ音楽:ジェフ・バーロウ、ベン・ソールズベリー出演:ジェシー・バックリー、ロリー・キニア、パーパ・エッシードゥ、ゲイル・ランキン、サラ・トゥーミィ2022年/イギリス/カラー/シネスコ/英語/字幕翻訳:松浦美奈/原題:MEN/100分/R15+提供:ハピネットファントム・スタジオWOWOW