『ブラックアダム』レビュー

ついに、今年の流行語にも挙げられた「マルチバース」。

多元宇宙論、

つまり自分のいる世界とは別に他の世界がある理論物理学。

それも複数存在するというから難儀だ。

己のアナログ頭脳では理解に苦しむが、コミック界では当たり前。

文字通り、漫画なのだ。

これが映画となるとすこぶる痛快。


映画『ブラックアダム』は日本公開に先駆けて世界76カ国で

初日3日間約208億円を超える破壊的な数字を叩き出しているらしい。

劇中、ブラックアダム役のドウェイン・ジョンソンが圧倒的だ。

アクションからコメディまで自在にこなす

ドウェインのプロフィールを改めるとこうだ。

1972年5月2日、カリフォルニア生まれ。

父はプロレスラーのロッキー・ジョンソン。

高校時代からフットボールを始め、奨学金で名門マイアミ大学に進学するも、

怪我でプロへの道を断念、レスリングへと転向する。


1996年にロッキー・メイヴィアと名乗り、悪役として注目を浴びるようになる。

その後、ザ・ロックとして絶大な人気を獲得し、

2001年、映画『ハムナプトラ2/黄金のピラミッド』に出演。

その人気から翌年にはスピンオフ作品『スコーピオン・キング』で

映画初主演を飾った。

現在は、映画とテレビ業界で最も成功した人物のひとりとして世界中で愛され、

アメリカ人で最もSNSのフォロワー数が多いとされているらしい。

監督は2021年の大ヒット作『ジャングル・クルーズ』で

ドウェインと組んだスペイン出身監督ジャウマ・コレット=セラ。

脚本はこれまた『ランペイジ 巨獣大乱闘』(2018年)で

ドウェインと組んだアダム・スティキエル。

コミック・ヒーロー映画の衣装を担当するのはカート・アンド・バード。

1983年にアート・スクールで出会ったカート・スワンソンと

バート・ミューラーによるコンビだが、スタイリストとして

デヴィッド・ボウイやオジー・オズボーン、ブリトニー・スピアーズといった

泣く子も黙るアーティストを担当したふたりなのでそのセンスは必見だろう。


今年いちばんの話題作『トップガン マーヴェリック』の

ローン・バルフェが音楽を受け持つことにも注目してほしい。

いまや、スーパーマンの映画にバットマンも登場し、

ワンダーウーマンもジョーカーもシャザムもフラッシュも

同作品で顔を合わせるマーベル・シネマティック・ユニバースの時代。

来年2023年3月17日公開の『シャザム! 〜神々の怒り〜』や

『アクアマン』の続編にもブラックアダムは出てくるのだろうか。

マルチバースならではの自由なヒーローの往来、

設定の共有と更新でDCユニバースの可能性は無限に広がっていくのだろう。

で、『ブラックアダム』はどんな話?


ブラックアダムは5,000年の眠りから目覚めた破壊神。

過去に息子を奪われた復讐心から、その破壊力を現代の人類へと向ける。

ブラックアダムを止めるべく結成されたのが必殺技を持つ4人。

はたして人類は生き残ることができるのか。

劇中、我が贔屓「スーサイド・スクワッド」に命令を下す

政府高官アマンダ・ウォーラーがチラリと顔を出すのでお見逃しなく。

ははーん、近作ではブラックアダムもスーサイド・スクワッドの一員なのね?

ニヤリとする瞬間だ。

(武茂孝志)

『ブラックアダム』

2022年12月2日(金)全国ロードショー

吹替え版同時上映

配給:ワーナー・ブラザース

上映時間:125分

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