『デーヴァラ』解説・あらすじ
『デーヴァラ』解説
映画『デーヴァラ』とは
『ＲＲＲ』の歴史的大ヒットで日本でもブレイクを果たしたトリウッド（テルグ語映画界）のスーパースター、“タラク”ことN.T.ラーマ・ラオ・Jr.（NTR Jr.）の主演作。
総製作費55億円、2024年9月27日に全世界一斉公開され約90億円の興行成績をあげてインド年間興行成績第4位となり、NTR Jr.にとっては『ＲＲＲ』に次ぐ自身の歴代2番目のヒット作となった。
監督、脚本はコラターラ・シヴァ。プラバース主演作『ミルチ』(2013)、NTR Jr.とモーハンラールが共演した大ヒット作『ジャナタ・ガレージ』などのトリウッド屈指のヒットメーカー。
デーヴァラの宿敵バイラ役には「ヴィクラムとヴェーダ」のサイーフ・アリー・カーン。ヒロインのタンガ役には「グンジャン・サクセナ 夢にはばたいて」のジャーンビー・カプール。
NTR Jr.とは
1983年、アーンドラ・プラデーシュ州（当時）のハイダラーバードに生まれる。1950年代からのテルグ語映画のトップスターで、政界に転じアーンドラ・プラデーシュ州首相にまでなった祖父ナンダムーリ・ターラカ・ラーマ・ラーオ（NTR）に始まり、多くの映画関係者を輩出してきた映画一族の生まれ。
古典舞踊クーチプーディなどの訓練を受ける。子役を経てのヒーローデビューは17歳の時の『Ninnu Choodalani』（2001、未）で、続く『Student No.1』（2001、未）から『ＲＲＲ』（2021）までＳ.Ｓ.ラージャマウリ監督と４回のコラボレーション歴がある。日本で上映された他の作品には『ヤマドンガ』（2007）、『バードシャー テルグの皇帝』（2013）など。
映画『デーヴァラ』あらすじ
1996年、ムンバイでは、クリケットのワールドカップを控えていた。無事に開催にこぎつけるため、厳戒態勢にあった警察本部に犯罪組織の破壊工作の情報が入る。警察のシヴァムは組織のリーダーを追って南インドへ。
アーンドラ・プラデーシュ州とタミル・ナードゥ州の州境にあるベンラトナギリという地域は“赤海”と呼ばれていた。４つの村からなる集落は海上密輸団がいると言われ、シヴァムは密輸業者に成りすまして情報を得ようとする。そこで長老シンガッパから、12年前に始まる、その集落で起きた凄惨な抗争事件と、“赤海”の英雄デーヴァラの伝説を聞くことになった。
『デーヴァラ』映画レビュー NTR・Jr.のさすがのダンスとアクションと瞳
映画『デーヴァラ』のNTR・Jr.は不思議な俳優だ。登場シーンのイメージ、見ている間の印象、そして見終わったときの感慨が全く違う。魅力がどんどん深化していく。インド独立戦争の闘志コムラム・ビームを演じた『RRR』でもそうだった。
映画『デーヴァラ』は、NTR・Jr.のダイナマイト級の底力にどっぷりハマる映画だ。戦闘シーンは研ぎ澄ましたナタのような鋭さ。キレのある動きと押していく勢いは決して止まらない。NTR・Jr.の持ち味は、吸い込まれるような瞳。『デーヴァラ』では、強力な信念が開花し、全開していく様子をじっくりと味わうことができる。
観客を唖然とさせるダンス。『RRR』のナットゥダンスの再来だ。NTR・Jr.のダンスは、泳いでいるかのようにスムース。見ている側は夢見心地になってしまう。
『デーヴァラ』でNTR・Jr.が演じるのは、タイトルロールのデーヴァラ。海上で密輸品を受け取り、陸上に運び込む。デーヴァラは悪党たちのリーダーだ。デーヴァラが住むのは、武器を神と崇める４つの村の一つ。かつては誇り高い一族だったが、今は生活のため命を賭して悪に身を染めている。
ある出来事をきっかけに、デーヴァラは目覚める。そしてリーダーとして方向性を変える大きな決断を下す。それは変化を歓迎しない仲間との決別も意味していた。
インド映画には神話をベースをしているものが多いが、『デーヴァラ』は特に神話的寓話性を深く感じた。同時に海上アクションエンターテイメントとしての娯楽度の高さも必見。特に密輸作業の一連の流れるようなシーンは、美しく綿密な計算を感じさせる。
『JAWAN／ジャワーン』でも見られたような、観客へのメッセージもある。生活のためなら何をしてもいいのか、今のままでいいのかを問いかける力の強さは、デーヴァラの心の変化を通してみることができる。そして思いがけないラストは、映画『デーヴァラ』の後味を決定づける。
デーヴァラ
３月２８日（金）より、新宿ピカデリー他にて全国ロードショー！
© 2024 NTR Arts. All rights reserved.
監督：コラターラ・シヴァ『ジャナタ・ガレージ』
出演：
NTR Jr.『RRR』
ジャーンヴィー・カプール『グンジャン・サクセナ -夢にはばたいて-』
サイフ・アリー・カーン『ヴィクラムとヴェーダ』
2024年／インド／172分／シネマスコープ／5.1ch／原題：Devara
字幕翻訳：藤井美佳／字幕監修：山田桂子／映倫区分：PG12
配給：ツイン
公式HP：https://devara-movie.com
公式X：https://x.com/devaramovie_jp
