『ベルナデット 最強のファーストレディ』 映画レビュー 秘策の元はダイアナ妃!爽快反撃映画

登場人物が華麗な変身を遂げる映画にはワクワクさせられる。『ベルナデット 最強のファーストレディ』は、それだけでなくお洒落でほがらか。そして楽しい。映画の中で心身ともに変化していくのは、実在の人物のベルナデット・シラク(カトリーヌ・ドヌーヴ)。彼女は、ジャック・シラク(ミシェル・ビュイエルモーズ)の妻で政治家。夫のジャック・シラクは、1995年にフランス大統領に就任した。

ベルナデットは、ファッションや社交、精神など全てを古いものから新しいものに変えていく。お手本はダイアナ妃。近寄りがたいイメージを一新させ、庶民に親しまれるファーストレディとしての存在をパワーアップさせていく。

ベルナデットはなぜ、変わる必要があったのか。今まで夫のジャックを支えてきた。それなのに夫は彼女を大統領夫人として正当に扱わない。アメリカで行われるサミットにも同行させない。スタッフには意見を求めるのに、彼女のアイデアに耳もかさない。浮気もする。ベルナデットは、イメージ戦略スタッフがついたのをきっかけに、反撃を開始する。

実話(を元にしたフィクションと断りが入れられているけれど)映画の場合、本物が出てくるのは、最後の最期のエンドロールのことが多い。ところがこの映画では本編前から本物のベルナデットが姿を見せる。容姿や雰囲気でベルナデット・シラクが、どういう女性なのかを見せてくれる。

本編が始まると、カトリーヌ・ドヌーヴが堂々と登場。実のところ、本物とは似ても似つかない。カトリーヌ・ドヌーヴは、紛れもなくカトリーヌ・ドヌーヴなのだ。それがどうした! と言わんばかりの威厳とエレガンスをまといながら、抜群のコメディセンスが爆発していく。爽快感もハンパ内ない。

監督・共同脚本を務めたのは。本作が初長編作品となるレア・ドムナック。風格とユーモアあふれるフランスコメディをじっくり味わってほしい。

(オライカート昌子)

ベルナデット 最強のファーストレディ

監督:レア・ドムナック 脚本:レア・ドムナック、クレマンス・ダルジャン 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ドゥニ・ポダリデス、ミシェル・ヴュイエルモーズ、サラ・ジロドー 2023/フランス/フランス語/カラー/93分 配給:ファインフィルムズ 原題:Bernadette 映倫:G 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
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