ラブコメは、見て気分が良くなることが、第一条件。ふーん、そうかと納得したり、少し学べればさらにいい。『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』は、どうか。
ニューヨークを舞台に、三組のカップルが登場。結婚やパートナーについてのストーリーだ。輝かしいキャストが勢ぞろいしているのはさておき、テーマはシビアにも思える。結婚への迷いや、不倫が関係してくるが、そこはうまくまとまっていて、ラストは完璧。観客は、いい気分なれる。そしてエネルギーチャージも満タンになれる。
ある夜、映画館で映画を見ながら、一人泣いている男性がいる。(ちなみにお涙頂戴の映画ではない)見かねた女性が、大丈夫? と声をかけ、二人は少ししゃべり、意気投合。別のカップル。ホテルの部屋。男は何か迷いがあるようだ。女性の誘いに乗ってこない。二人は4か月不倫関係を持っていたけれど、今夜で別れることになるのか。
結婚式。みんなの応援で、ブーケを受け取る予定の女性。ところが邪魔が入る。彼女のブーケを受け取る権利をもぎ取ったのは、意外な人物。
3組、6人のそれぞれが、思惑や希望や揺れがある。このままでいいだろうか。もっと進むべきか、リスクと心地良さの綱引きだ。
それでも、ラブコメの王道らしく、あくまでもお洒落で笑えて、意外な展開にびっくりし、うまくまとまる。それは、いくつもの賞を受賞してきたベテラン監督・脚本家のマイケル・ジェイコブスの手腕と、俳優たちの余裕の演技のたまものだ。
ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、ウィリアム・H・メイシーの大人勢の貫禄は期待をすんなり乗り越える。特に際物的女性を、重量級の演技で圧倒してくるスーザン・サランドンには驚いてしまった。彼女は、こんなに素敵だったのだ。
アバウト・ライフ 幸せの選択肢
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3月8日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給: AMGエンタテインメント
監督・脚本:マイケル・ジェイコブス
製作:ジョナサン・モンテパレ 音楽:レスリー・バーバー 撮影:ティム・サーステッド 編集:エリカ・フリード
出演:ダイアン・キートン、リチャード・ギア、スーザン・サランドン、エマ・ロバーツ、ルーク・ブレイシー、ウィリアム・H・メイシー
2023/英語/95分/原題:Maybe I Do