邦題、ごちゃごちゃ、長すぎ。
今風に、『＃スースク』でいいじゃん。
と思ったが、映画が始まると、５分でそんなことは吹っ飛んだ。
みんなが、ジェームズ・ガン・ワールドの虜となるだろう。
と思った次の瞬間、
贔屓のキャラクターがわずか８分で溺死しちゃった！
おいおい、ほんとかよ〜。。。。
これまた、J・ガン監督ならでは、悪ふざけなのか。
映画は見る者すべての予想を、いとも簡単に超えてくる。
そもそも、映画の呪われ度も話題を呼んだ。
前作『スーサイド・スクワッド』（2016）の監督、
デヴィッド・エアーは方向性の違いで喧嘩降板。
何を思ったか、メル・ギブソン、ルーベン・フライシャーなど、
複数の監督候補にもそっぽを向かれ頓挫の危機に。
当時、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.３』の
監督から解雇されたばかりのJ・ガンに運命が託された。
このニュースに世界中の「スースク」ファンは大熱狂。
こうして、J・ガン監督に一任された映画は、
「強い暴力とグロテスクな表現！ 随所に見られる下品な言葉使い！
いくつかの性的表現！ 薬物！ 短い生々しいヌード！」（笑）
により、米国では「R指定」、日本では「R 15＋指定」で着地。
ゆえに、本国アメリカでは17歳未満の鑑賞は保護者の同伴が必要。
日本では15歳未満のお子ちゃまの入場、鑑賞はできない。
これぞ、ジェームズ・ガン・ワールドの面目躍如たるところだろう。
「お子ちゃまの鑑賞に合わせる映画作りなんてクソ食らえ」と
ニヤつくJ・ガンが、そこに立つ。
キャラクターの特徴を魅力的に描き、物語はいたってシンプルだ。
たかだか10年の減刑と引き換えに
極悪犯たちがスーサイド・スクワッド（自殺部隊）に入隊していく。
その14人の精鋭が持つトンデモ武器を駆使しながらの展開に
拍手喝采となる。
スーパーマンを半殺しにした罪で服役中の「ブラッドスポート」
何十万匹ものドブネズミを操る女「ラットキャッチャー」
身体中から水玉を飛ばし、敵をドロドロに溶かす「ポルカドットマン」
平和のために暴力をふるう矛盾男「ピースメイカー」
人食い、そして人間を生きたまま引きちぎる「キング・シャーク」
子どもばかりを殺している二足歩行のイタチ「ウィーゼル」
もちろん、ジョーカーの元恋人「ハーレイ・クイン」も健在だ。
命令に歯向かえば即爆死。ミッション失敗でも即死の任務に立ち向かう。
戦後、ナチスの残党が逃げ込んだとされる南米某国で
密かに進められている「カイジュウ・プロジェクト」阻止に挑む14人。
クライマックスで、ウルトラマン、仮面ライダーら特撮ヒーローなど
日本のポップカルチャーの大ファンであるJ・ガン監督の本領が
存分に発揮される。
製作当時からひた隠しされていたラスボスが、
大映『宇宙人東京に現わる』（1956）の宇宙人にそっくり！
往年のファンは啞然とするだろう。
本邦初のカラー特撮映画『宇宙人東京に現わる』の特撮担当は、
のちに円谷プロのウルトラマンシリーズを手掛ける的場徹。
登場するヒトデ型宇宙人のキャラクターデザインは、岡本太郎だ！！
『スースク』鑑賞後、ケータイでチェックしてごらんよ。
そっくり度にひっくり返るはずだから。
J・ガン監督のニッポン愛に大笑いするばかりか、
顔面に水玉を発症させる「ポルカドットマン」の形状も
1963年の特撮ホラー映画、東宝『マタンゴ』を連想させて頬が緩む。
J・ガンの遊び心は、これだけではない。
次期ジェームズ・ボンドと噂されるイドリス・エルバの登場シーンが
便所掃除の模範囚とは、ね。
シルヴェスター・スタローンの役がサメ役とは、ね。
1972年、ニクソン大統領に「監獄法の改正」を訴えた（あはは）
ジョニー・キャッシュの名曲で幕をあける
『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』。
何から何までジェームズ・ガン・ワールド満載だ。
残された敵は、プレデターぐらいか？
こんなことを思わせる極悪終身犯たちによる痛快作だ。
※その後、J・ガンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.３』の
監督にも復帰したのでご安心あれ。
『ザ・スーサイド・スクワッド ”極”悪党、集結』
2021年 8月13日(金) 全国公開
配給： ワーナー・ブラザース映画
(C) 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC Comics
レイティング：R 15＋指定
