『FLY! フライ!』映画レビュー 空を飛ぶ醍醐味と一歩進む勇気

鳥には強いあこがれを持っている。シンプルなライフスタイルで、いつも楽しそう。それに飛べる。『FLY! フライ!』は、カモの一家を主人公に、CGでしかできない形で描かれる、大空を飛ぶ醍醐味溢れたアドベンチャー映画だ。

「ミニオンズ」「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」のイルミネーション・スタジオ製作作品。

主人公たちは、アメリカ北東部、ニューイングランドの池にいるカモの一家。父のマック、母のパム、長男のダックス、長女のグウェン、そしてダンおじさん。

渡り鳥なのに、渡らない。慣れた池で安心・安全の生活に籠っている。その池に、渡り鳥が飛来してきた。新しい刺激だ。子どもたちは、自分たちも渡りをしたい、まだ見ぬジャマイカに行ってみたいと父に言う。だが、安心・安全を絶対的に守りたい父のマックは、反対。彼はこのままでいいと思っているから。

ところが、彼も、勇気の欠片を持っていた。あることがきっかけで、カモの一家は渡りに挑戦。旅の面白さは裏切らない。ワクワク満載のアドベンチャーとなる。

練りに練った意外な展開も数多い。例えば、ニューヨークでの空の旅と、そこでの出会い。鳥目線でのニューヨークの、絢爛で危険な世界は、自分がその場にいるかのような臨場感を誘ってくれる。

例えば、途中で偶然立ち寄った、鳥たちの楽園。大量の美味しい食べ物、楽しいアトラクション、居心地の良さは、まるで天国そのもの。カモの一家も、そこに。ずっといてもいいのだろうか。 そこはいったい、何のためにあるのか?

カモの一家に、絶体絶命の危機も訪れる。もちろんファミリーアニメなので、そのまま危険の中に放置されることはないけれど、その脱出方法も感動的だ。

『FLY! フライ!』は大空での飛翔、変換される私たちの視点も楽しいけれど、もっと身近な家族の絆や、本来の自分へと一歩向かう意思への刺激が一番の味なのだ。
(オライカート昌子)

FLY! フライ!
2024年3月15日(金)全国ロードショー!
(C)2023 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.
2023年製作/83分/G/アメリカ
原題:Migration
配給:東宝東和