アフター・アースは、ウィル・スミス、ジェイデン・スミス親子が『幸せのちから』以来の共演を果たしたSF大作。不時着した星(それは人類がかつて放棄した地球)での壮大なサバイバルが描かれる。
ウィル・スミスが演じるサイファ・レイジは、戦争の英雄で軍を率いる将軍。そして、ジェイデンが演じる息子のキタイは、軍では落ちこぼれながら、父に認められようとしている少年だ。
父が偉大すぎるからだろう。二人の間の意思疎通は上手くできているようには見えない。だが、トラブルに見舞われたことで、父は息子の力を信じ抜くしかない状況に陥ってしまう。
そこからが一番の見せ場だ。キタイは、見知らぬ星での探索と冒険とサバイバルの旅へと出発する。父は息子に手を貸すことはできず、息子はどんな危険にも一人で立ち向かわなくてはならない。
息子の旅立ちと試練の旅を、見守るしかできない父という設定は、普遍的でもあり、現実のどの親子でもあてはまるのではないだろうか? ただそこに深入りせずに、あくまでエンターテイメントに徹しているところが、M・ナイト・シャマラン流なのだろう。
救助を仰ぐビーコンを探しだすための遠征は、見ている私たちも冒険しているような臨場感が味わえる。状況によって色の変わるスーツ、怪鳥との出会いとその顛末などのアイデアも豊富だ。特にゴースティング(恐怖を感じないことで敵から姿が見えなくなる)の設定は面白い。
ストーリーは古典的、かつシンプルだし、登場人物も限られているのだが、ひたすら緑の大地を駆け抜け、崖から飛び降り、獰猛な敵に立ち向かうキタイの姿が、清々しさを残してくれる。
なぜそこが地球なのか、の必然性に欠けること、生存者が二人だけという、土台の部分の都合が良すぎるところ、序盤のセットの独創性が乏しいことなど、気になるところがあるのが残念。
(オライカート昌子)
アフター・アース
2013年 アメリカ映画/100分/監督:M・ナイト・シャマラン/出演:ウィル・スミス (サイファ・レイジ)、ジェイデン・スミス(キタイ・レイジ)、ソフィー・オコネドー (ファイア・レイジ)、ゾーイ・イザベラ・クラヴィッツ(センシ・レイジ)、リンカーン・ルイス他/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2013年6月21日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
公式サイトhttp://www.afterearth.jp/