ダーク・シャドウの画像
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『ダーク・シャドウ』の公開を記念して主演のジョニー・デップとティム・バートン監督が会見を行いました。その模様をレポートします。

ダーク・シャドウとは
1966年から71年の5年間、アメリカで放映されたTVドラマ『ダーク・シャドウ』をベースに映画化。ジョニー・デップ、ティム・バートン監督の8度目のタッグとなる。ジョニー・デップは原作TVドラマのファンとして今回は製作にも名を連ねている。

ジョニー・デップが演じるのは、200年間の眠りから目覚めたヴァンパイア。子孫の前に姿を現したデップ演じるバーナバス・コリンズは、かつて栄華を誇った名家の没落を知り、復興を志す。だが、200年の時はバーナバスをすっかり時代遅れにしており、バーナバスの言動は現代から見るとズレたものばかり。そんな時、彼をヴァンパイアに変えた、かつて捨てた恋人の魔女、アンジェリークが一家の前に立ちふさがる。

8作目のコラボ。今まで喧嘩したことはない

ジョニー・デップさんは、いつも暖かくサポートをしてくれる日本のファンに感謝の言葉を述べた後、一年前の悲劇の後に日本に再び戻ってこれたことに感謝し、被災地の人のために自分もサポートしたいと語っていました。

ジョニー・デップさんとティム・バートン監督のコラボレーションは8度目。お二人が仲が良いことはわかりますが、今まで意見の不一致があったことは? と聞かれ、ティム・バートン監督は、「ジョニーと仕事をすると、いつも全く違うキャラクターを作ってくるので、私にとっては、8人の別の人と仕事をしているようなものです。

ジョニーとは『シザーハンズ』以来、仲良く仕事をさせていただいていますが、それもジョニーと私は、アプローチの仕方など、似たようなものを持っているからだと思います。私が何も言わなくても、ジョニーが脚本にメモを書いているのを見せてもらうと、私が考えていたのとちょうど同じだったりするのです」

ジョニー・デップは、「初めてティム・バートン監督に会った時から彼とのつながりを感じました。私がシーザハンズの役がもらえたというのも、ティムがスタジオと戦ってくれたからです。僕が本当にやりたかった役で、僕の方向を決めてくれたのもこの役でした。

だから彼にはとても感謝しています。今まで作品について意見の対立や争いごとは一度もありませんでした。彼はフィルムメーカーとして、素晴らしいですし、その範囲を超えて作家性のある、映画界に希少な真のアーティストだと思います。独創的な世界を持っていますし、今までそばで見てきて、映画の幅をどんどん広げ、自分の世界観やキャラクターたちも深みを増してきた、それを見てこれたことが僕にとっての幸福です」

バーナバスは陸に上がった魚のようなキャラクター

この役には、どのような思い入れがありますか?という質問に、「ダーク・シャドウのTVシリーズが60年代の後半にアメリカで放映されていたのですが、ティムも僕も大ファンでした。特に僕は、バーナバス・コリンズという役に執着していたんです。彼はなりたくなかったのにヴァンパイアにされてしまう。そのTVシリーズの雰囲気をそのまま映画に持ち込みたかったんです。彼は陸に上がった魚のようなキャラクターなんです。

ジョニー・デップとティム・バートン監督の画像彼はエレガントな時代、18世紀後半から来て、1972年に蘇ります。1972年というのは、いろいろな意味で最も奇妙な、映画でもファッションでも音楽でも、変なものが流行していた時代だと思うんです。ティムと僕にとっては子供の頃ですが、当時は普通だと思われていたことが、非常にバカげていると感じていました。プラスチックの果物とか、マクラメで編んだものとか、変だと思っていたんです。それを映画に持ち込んでみました」

今のお母さんの世代はシザーハンズのエドワードに恋をしました。今日は母の日ですが、メッセージはありますか? という質問に、ジョニー・デップさんは、「私は長年の間色々なキャラクターを演じてきました。特にティム・バートン監督とは、ちょっと変わった奇妙な役を演じてきました。それを受け入れてくれたファンには感謝しています。僕たちはスタジオのために映画を作っているのではなく、みなさんのために作っています。

僕の演じる変わったキャラクターや、ティムの作る変わった映画を受け入れてくれて本当にありがとう、そして母の日おめでとう。みなさんをがっかりさせないように、これからも頑張っていきます」

200年ぶりに蘇って、時代についていけないところが気に入ったのですが、お二人にはついて行けないと思うことはありますか、という質問に、ティム・バートン監督は、「全てについて行けません。僕自身の電話番号すら覚えてイられないぐらいです。技術に疎いので、私の3歳の息子のほうが詳しいほどです」と答えて会場の爆笑を誘っていました。

「忙しく立て続けに映画に出演しているので、時々朝起きて自分がどのキャラクターを演じているのかわからなくなることがあります。ローン・レンジャーの役をやっていて、マッドハンターの声を出さないようにしなくてはと思うほどです」

日本は自分に合っている国。人々の暖かさと優しさが好き

ジョニーさんは撮影の合間を縫って、今回来日していただけたのですが、日本についての感想は? という質問には「日本は大好きです。人々が暖かく迎えてくれる。日本の文化、優しさ、暖かさに触れて自分に合っていると思います。歴史、文化にも興味がそそられます。京都や日本の田舎にも行ってみたいです。世界で一番好きな場所の一つです」と答えていました」

ジョニー・デップの画像イベントのスタッフが心配するほど、お二人ともファンを大切になさっているのですが、その理由と、あれほど長い間サインをサれて疲れないのですか、という質問に「先ほどジョニーも話していたように、皆さんが遠くからやってきて待ってくれて、優しさと暖かさで迎えてくれます。皆さんが一番大切な人であるし、みなさんのおかげで映画を作ることもできるのです。皆さんがくださる素晴らしい力を少しでも返していければと思っています」

「ティムの言うとおりです。私達が仕事ができるのもファンの皆様のおかげです。皆さんの歓迎には心が響きます。せめてものお返しは、サインすることやサービスすることなんです」

ダーク・シャドウでのヴァンパイア役の御家族の反応は? と聞かれ?「子供は10歳と13歳になります。ですので、彼らにとっては僕がヴァンパイアをやる方が、オレンジ色の髪で、スカートをはいているキャラよりずっといいと言ってくれています。バーナバスを気に入ってくれて面白いといってくれて、撮影中もずっと一緒にいました」

ティム・バートン監督は、『ダーク・シャドウ』以外にも、『Abraham Lincoln: Vampire Hunter(原題)』では製作をされていますが、なぜ今、ヴァンパイアなのですか? という質問に、ティム・バートン監督は、「トレンドなんです。僕達にとっては、5歳の時からヴァンパイアというのはトレンディなものだと思ってきました。今回は発想概念としては、ヴァンパイアになりたくなかったヴァンパイアという、異なった角度からヴァンパイアを描いていると思います」

キスをするとドナルド・マクドナルドになってしまった

ジョニー・デップさんは白塗りで、エヴァ・グリーンさんも魔女で白塗りだったんですが、撮影中面白いエピソードなどありましたか? という質問に「メイクに関しては、古い手法、いわゆるドーランを使いました。フランケンシュタインで使われたのと同じだったので、現場では問題がたくさん起きました。

エヴァ・グリーンと僕とのラブシーンがありましたが、一度キスをすると、唇が、マクドナルドのキャラクター、ドナルド・マクドナルドのようになってしまいます。ですので、テイクとテイクの間に白くなったところを拭き取るという作業が必要でした。ですが、棺に入っていた男で、アンデッド(死ねない)わけですから、ティムも言っていたのですが、クラシックなモンスターのイメージを再現したかったのです」

今回は3Dではなかったのは?という質問には、「3Dには興味を持っていて、アリス・イン・ザ・ワンダーランドも3Dで作りました。3Dが生まれたことでより選択肢が増えたと思っています。今回は舞台が70年代だから2Dにしたというわけではなくて、70年代のノリや雰囲気を描きたいというのがありまして、色調や色味など、70年代初期の鮮やかさ強調したかった。3Dだとどうしても色が暗くなります。そういう理由で今回は3Dは適切ではなかったというのがあります」と答え、会見を締めくくりました。『ダーク・シャドウ』は5月19日より公開になります。  (文・取材 オライカート昌子)

ダーク・シャドウ オフィシャルサイト http://wwws.warnerbros.co.jp/darkshadows/

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