
韓国の大型エンターテイメント映画は必ず見たい。韓国の娯楽大作はプロの技の結晶でもあるし、観客が楽しむことを最優先して作っている。時にエンタメ大作が、名作と呼ばれることもある。『新感染 ファイナル・エクスプレス(16)』のように。
『プロジェクト・サイレンス』は、韓国映画としては、久々の大型エンターテイメント作品だ。『新感染 ファイナル・エクスプレス』のパク・ジュスクと『神と共に』シリーズ監督のキム・ヨンファが脚本を担当。ところどころで『新感染 ファイナル・エクスプレス』を思わせるシーンがある。監督・脚本はキム・テゴン。
ディザスター・パニックシーンが次々と襲い掛かってくる。気が抜けない。緊張感とサスペンスが、途切れない。パズルを上手くはめ込んだような予測不能で隙のないストーリーが観客を強力な力で引っ張っていく。人情がある。チームワークもある。
国家安保室の行政官ジョンウォン(イ・ソンギュン)は、次期大統領候補の側近で娘のギョンミン(キム・スアン)と二人暮らし。ギョンミンを海外留学させるために、その日、海に囲まれた空港へと通じる大橋を渡っていた。濃霧とそれを原因とした大規模玉突き事故が起こる。タンクローリーの横転で有毒ガスが漏れだし、救助のヘリも墜落。だが一番の怖ろしい事態は、国家機密計画「プロジェクト・サイレンス」の軍事機密”エコー”が世に放たれてしまったことだった。
『プロジェクト・サイレンス』の見どころの一つがチームワーク。いくつものバディやコンビがスクリーンを彩る。夫婦あり、親子あり、姉妹あり。
中心となるバディは定番の組み合わせだ。最初は敵(不仲)だが、危機を乗り越えるプロセスで特別な絆が生まれる。一人は主人公ジョンウォン。もう一人は、ガソリンスタンドで店長のように振舞っていた男、チョバク。チョパクを演じているのは、チュ・ジフン。映画『神と共に』シリーズや『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』『暗数殺人』などのスター俳優だが、『プロジェクト・サイレンス』では奇抜さと調子の良さで映画にリズムを奏でる得な役柄だ。似た感じのバディ映画『ランサム 非公式作戦』にも登場していた。この先このタイプの役柄が十八番になるのかもしれない。
一番のコンビは最後の方で登場する。彼らを見てあなたはどう思うだろうか。おお、よかったと、胸をなでおろすのか、さらなる恐怖の予測で震えるのか。
プロジェクト・サイレンス
全国公開中
配給:ハピネットファントム・スタジオ/ショウゲート
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監督・脚本: キム・テゴン 『グッバイ・シングル』
共同脚本 :パク・ジュソク『新 感染』シリーズ 脚本、キム・ヨンファ 『神と共に』監督/脚本
撮影 :ホン・ギョンピョ『パラサイト 半地下の家族』『哭声/コクソン』
出演:イ・ソンギュン『パラサイト 半地下の家族』「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」
チュ・ジフン『神と共に』「キングダム」
キム・ヒウォン『声/姿なき犯罪者』「ミセン」
2024年/韓国/96分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:福留友子
原題:탈출: 프로젝트 사일런스/英題:PROJECT SILENCE/G
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