『グリーンランドー地球最後の2日間ー』映画レビュー(感想)

ジェラルド・バトラーの作品の選び方はクールだね、最近では『エンド・オブ・ホワイトハウス』シリーズも人気を獲得したし、『ハンターキラー 潜航せよ』も評判が良かった。

『グリーンランド』は、地球滅亡映画であり、人間を選別し、シェルターで守り切るという、よくあるタイプの映画。それが、ジェラルド・バトラーにかかると、普通の親父が頑張る映画となる。等身大の人間臭さに、嫌でも共感させられる。大がかりなディザスタームービーになり過ぎないところがいい。明日も頑張りましょう、という気分になる。

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妻と別居中だった建築技師のジョン・ギャリティは、久しぶりに家に戻り、近所の仲間とのパーティの準備に駆り出されていた。TVでは、彗星群が地球に最接近する天体ショーが話題に。そんな中、スーパーに買い出しに来ていたジョンのスマホに大統領緊急アラートが届く。

内容は、「緊急避難人員に選抜された。家族三人で近くの空軍基地へと向かえ」というものだった。48時間後に、恐竜を滅亡させたクラスの彗星がやってくる。なんとか基地にたどり着いた三人だったが、車の中に息子ネイサンが必要とするインスリンを置き忘れてきたことに気づく。取りに戻ったジョンと三人ははぐれてしまう。

家族の合流のためにできることは数少ない。絶望している暇もない。様々な試練が立ちふさがる。人間性があらわになる選択場面も多々ある。

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清涼剤のような役割を果たしているのは、息子のネイサンだ。そして当初は、並以上の生活を優雅に送っていた妻のアリソンの全力で生き抜こうとする姿には胸が締め付けられる。生きている人間の息づかいが作品に現れているのは、ごく普通の家族だった3人のできるかぎりの奮闘の様子だ。

後半になると、ディザスター映画的な展開が目立つようになるけれど、悲劇をことさらに強調させることもない。地球の破滅ぶりはストレートに描かれている。清々しさを感じるほどだ。まるで生まれ変わった地球で新鮮な朝日を浴びたような感覚が残る。一種の浄化映画なのかもしれない。もちろん、浄化するならもっといい形がいいけれどね。

オライカート昌子

グリーンランドー地球最後の2日間ー
© 2020 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
6月4日(金)TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
監督:リック・ローマン・ウォー 『エンド・オブ・ステイツ』
出演:ジェラルド・バトラー モリーナ・バッカリン ロジャー・デイル・フロイド スコット・グレン
VFX:PXOMONDO 『2012』『ヒューゴの不思議な発明』『ミッドウェイ』 
公式サイト:greenland-movie.jp
提供:ポニーキャニオン/アスミック・エース 
配給:ポニーキャニオン 
原題:GREENLAND/2020年/シネスコ/ドルビーデジタル 5.1ch/119分