『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』映画レビュー 幸福度満点の最高爆笑作

1年を最高の笑いでしめくくり、爽やか笑顔で新年もスタートしたい。それにピッタリな映画が登場した。その映画は、『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』。韓国映画のコメディ作品としては、爆笑の渦に巻き込んだ『エクストリーム・ジョブ』以上の大ヒット作品。長い題名だけれど、ビビッてはいけない。笑えるだけでなく、幸福感と爽快感に満ちた中身の充実度も大きい。

題名の由来は、韓国発の大ヒットテレビシリーズ、『愛の不時着』だ。『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』では、南から北に飛んでいき、不時着してしまうのは、人間ではなく、ロトくじ。しかも一等賞。この内容で、大体の流れは予測できる。その予測は当たるけれど、予測不能の部分も大きい。そしてその予測以上のパートが一番の爆笑ポイントだ。

舞台のほとんどは、南北軍事境界線で起こる。本来南北対立の厳しい政治状況にありながら、一攫千金の夢が、小さな南北会談につながっていくあたりが奇想天外な面白さを感じさせる

ロトくじが、不思議ないきさつで、韓国軍の兵士チョヌ(コ・ギョンピョ)の手に入る。それが、1等の当たりくじだと知った彼は、大喜び。

喜ぶのもつかの間、その宝くじは風に乗って軍事境界線を越え、北朝鮮の上級兵士ヨンホ(イ・イギョン)のもとへ飛んでいってしまう。南北の兵士たちは宝くじの所有権をめぐり、共同警備区域のJSAで会談を開くことになる。

ゆるい韓国兵士、規律正しい北朝鮮兵士の違いが、笑いを呼び込む。そして思いがけないラストに向けて、スムーズかつスリリングな流れが、緊張と緩和のリズムを刻む。笑いは上質で、極めて気分のいいものだ。

監督は、長編2作目のパク・ギュテ監督。韓国軍兵士の3人組の一人、宝くじを手に入れたチョヌ役には、コ・ギョンピョ。ク・チャヌク監督『別れる決心』(2022)でパク・ヘイルの部下役を演じた。

『ヒットマン エージェント:ジュン』のイ・イギョンが北朝鮮兵士ヨンホを演じ、『パイプライン』のウム・ムンソクは、チョヌの上官であるカン小哨長。「人生は、美しい」のパク・セワンが北朝鮮軍の紅一点。

「サイコだけど大丈夫」(2022)「ヴィンチェンツォ」(2021)「怪異」(2022)など大ヒットドラマに出演したクァク・ドンヨンは、韓国軍兵士の弟分役。ゆるさと笑いを担当。北朝鮮の政治指導員 チェ・スンイル役のイ・スンウォンは、笑いと厳しさのスイングが、圧倒的な存在感。そして、華麗なダンスを披露してくれるのは、『スウィング・キッズ』以来のキム・ミンホ。

(オライカート昌子)

宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました
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2022年製作/113分/G/韓国
2023年12月29日より公開
原題:6/45
配給:ツイン
2023年12月29日