シルヴェスター・スタローン、アーノルド・シュワルツェネッガーという往年のビッグネームが、夢の本格競演を果たした『大脱出』は、エキサイティングな攻略型娯楽作。二人の初共演作、『エクスペンダブルズ』では、シュワルツェネッガーは顔を出すぐらいだった。今回こそが初めての本格共演である。難攻不落の刑務所からの大脱走を企てるというのも嬉しい限り。
まず初っ端から、スリリングなシーンに興奮させられる。シルヴェスター・スタローン演じるレイ・ブレスリンが、ある刑務所を脱走するのだ。というのも、彼は刑務所警備アドバイザーであり、実際に自分が脱走してみて、警備の隙を見つける。プロ中のプロなのだ。万が一、脱走できなかった場合には、刑務所の警備が完璧ということになる(そんなことは滅多にないようだが)
彼には、「刑務所完璧警備術」のような著書もあり、彼のアドバイスを忠実に実行すれば、脱獄が難しい、堅い守りの刑務所ができあがるはずだ。ところがその本のせいで、次に舞い込んだ仕事は、悪夢のようなものになってしまった。
本来なら安全策をとってから刑務所に入り込むレイだったが、今回はそれが効かない。街中で突然拉致されてしまう。彼をサポートするチームは彼がどこにいるのかもわからない。
その刑務所は超ハイテク仕様の通称”墓場”。監房は全面ガラス張りで、看守は全員マスクをかぶり、普通の刑務所とは全く違う。刑務所は、レイ・ブレスリンが書いた著作の知識を取り入れて作り上げられた、脱獄不可能な場所なのだ。
レイ・ブレスリンは、自分と戦っているようなもの。緊張感が持続する戦慄の展開となっていく。見ていても、脱獄できそうには思えない。不可能性への挑戦は、見ているだけなら、これほど楽しいものはない。
スタローンは、さすがに年齢を感じるが(67歳)、囚人の一人ロットマイヤーを演じるシュワルツェネガー(66歳)は、以前と変わらない華やかさで映画を彩る。二人がぶつかり合う超ヘビー級の格闘シーンは、特に圧巻だ。
個人的に嬉しかったのは、所長を演じるジム・カヴィーゼルの登場。悪人というわけではなく、彼は単に職務を全うしようとしているのだが、やることが全て悪にしか見えないところが心憎い。
この作品の特徴として、脱獄術を一通り学べることがあげられる。知識のひとつとして持っているのも悪くないかもしれない。
(オライカート 昌子)
大脱出
2013年 アメリカ映画/サスペンス・アクション/113分/原題:ESCAPE PLAN/監督: ミカエル・ハフストローム(408号室),(ザ・ライト -エクソシストの真実- )/出演・キャスト: シルヴェスター・スタローン(レイ・ブレスリン)、アーノルド・シュワルツェネッガー(エミル・ロットマイヤー)、ジム・カヴィーゼル(ホブス所長)、カーティス・“50 Cent”・ジャクソン(HUSH)、ヴィニー・ジョーンズ(レスター・クラーク)、ヴィンセント・ドノフリオ(ドレーク)、エイミー・ライアン(アビゲイル)ほか/配給:ギャガ
2014年1月10 (金) TOHOシネマズ日劇 他 全国ロードショー
『大脱出』公式サイト http://dassyutsu.gaga.ne.jp/