ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!とは
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』は、高い評価を得た、伝説的コメディ『ビルとテッドの大冒険』、『ビルとテッドの地獄旅行』の続編で、シリーズ同様、キアヌ・リーブスと、アレックス・ウィンターが主演。
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』映画レビュー(感想)
映画を見て、ハッピーな気分になりたかったら、ぜひ『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』を試して欲しい。『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』は、おバカ映画の一種ではあるし、欠点もいくつかある。だけど、それ以上に最高なエンディングが待っている。
欠点の一つは、20年近く前の『ビルとテッド』シリーズの続編ということ。前作をリアルタイムで見た人はそんなに多くはないはずだ。
一作目の『ビルとテッドの大冒険』は1989年の映画。ロックスターを目指す二人の高校生、ビルとテッドがタイムマシンに乗って大冒険をするストーリー。二作目の『ビルとテッドの地獄旅行』では、死んで地獄に落ちたビルとテッドが、死神を味方にしてロボットとも対戦。
主演の一人、テッドを演じたキアヌ・リーヴスが、『スピード』に出演し、でシリアスでカッコいい役で売れてしまったから、続編がこんなに長くかかってしまったのだろうか。スターとしての格調高いイメージもあったし、純粋おバカコメディにカムバックするにはそのぐらい長い時間を必要としたのかも。
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』でのキアヌ・リーヴスは、元高校生のテッドそのままで、スター性の名残はない。これには感嘆するしかない。
ビルとテッドは、ほとんどのセリフが、二人一緒のユニゾン、つまり言葉をそろえて発声する。時には絶妙のハーモニーで掛け合いする。そこは映画の見どころの一つだ。キアヌの主演濃度は二分の一。さらに今回は娘たちの活躍、嫁たちの活躍も大きいので、キアヌは主演勢のうちの一人と言った方がいい。
『ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え!』の、もう一つの欠点は冒頭だ。人間関係と、二人の現在状況を説明しているのだが、あまりにも奇想天外な情報を駆け足で表現している。
時空が崩壊して、あらゆる時代、空間が混ざり合ってしまっている状況下、ビルとテッドは、家族の結婚式に出席している。そこで家族の紹介などがされるのだが、おふざけと膨大な情報量が交錯して、見ている方は多少不安になりかねない。
作り手側の、ちゃんと説明しておくね、という意欲と誠意は伝わってくるのだが。
未来から「音楽で世界を救ってくれ。タイムリミットは、77分間」という要請が来るころには、不安は大きくなってくるかもしれない。
とにかく【最高】の曲が必要ということで、多分曲が完成しているであろう未来の自分たちに会いに行くのだが、混乱も極まってくるように見える。
そこに、映画の救い主が出現する。
音楽の天才たちが、綺羅星のごとく登場し、繊細な香味を振りかけてくれる。映画が転調する瞬間だ。文字通り、音楽は【映画世界】を救う。
それからは、練り上げられたコメディパートが散りばめられた末、見事なラストに収束されていく。
『ビルとテッド』のキャラクター設定も素敵だ。信頼感とパートナーシップ。
【リアルタイム】の二人が発する言葉は、
「上手くいくような気がする」
「我慢しろ、絶対、上手くいく」
「お互いに、最高であれ」
クサくなりがちなワードなのに、二人が口をそろえて励まし合っている姿を見ると、元気がでる。
おバカコメディのベールの下には、シンプルで真摯なメッセージ性が隠れている。
ところで、音楽の天才たちの登場もそうなのだが、デニス・ケイレブ・マッコイと死神のキャラクターには惚れずにいられない。この二人を見ただけでも、満足感でお腹いっぱいだ。さすが伝説のシリーズだね。副菜の味もいい。
ビルとテッドの時空旅行
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2020年製作/91分/G/アメリカ
原題:Bill & Ted Face the Music
配給:ファントム・フィルム