『エクスペンダブルズ』シリーズでは、シルヴェスター・スタローンのリードのもと、セルフパロディを披露するなど愛嬌を見せたが、やはり彼は主人公を演じてこそ魅力を最大限に発揮する。この映画はその証明のようなものだ。
ロサンゼルスを混乱の極みに陥れたコルテスは、時速400キロも出るスーパーカーでメキシコ国境のアリゾナ州ソマートンへと疾走する。FBI捜査官(フォレスト・ウィティカー)は「SWATを送るから、彼らに任せろ」と指示するが、SWATは途中でコルテスらに簡単に片付けられてしまう。
とうとう追いつめられたコルテスがレイに頼む。「(難民が)毎日1万2千人も逃げて来るんだ、一人くらい帰ってもいいだろ?」。そしてワイロを200万ドルまでつりあげる。なんでも金で解決してきた麻薬王は、金より大事なものがあるということがまるでわからない。すべての戦いにおいてものをいうのは金と武器ではなく、知恵と心意気である。そう思いたいではないか。
この理想は現実ではなかなか成立しえないが、映画でなら成立する。そしてシュワルツェネッガー主演作でなら、さらに明るく正しく幸福に成立する。韓国人監督キム・ジウンが颯爽たるハリウッドデビューをきめた。
(内海陽子)
ラストスタンド
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