(C) 2011「日輪の遺産」製作委員会

 

浅田次郎原作の同名小説を佐々部清監督が映画化。

終戦間近、マッカーサーから奪取した900億円(現在=200兆円)の財宝を極秘移送する任務を受けた陸軍少佐らと、運搬作業員に呼集された20人の少女たちの物語。
敗戦を悟った日本が、その財宝を日本の復興資金として隠匿しようとするのです。映画の冒頭で描かれるのは、現代日本。今では老齢の久枝が「隠してきた過去」を回想……。
戦時中の真柴少佐を演じるのは『ゲキ×シネ 蛮幽鬼』で笑い顔がはり付いた演技が光っていた堺正人。小泉中尉に副士誠治、望月曹長に中村獅童。三人の異なるキャラクター設定が絶妙です。
彼らと20人の少女と引率の先生との関係も良好ですが、ポツダム宣言が受託された直後に少佐の元に、ある伝令が届きます。
【ややネタバレ】
令状の内容は、呼集された少女たちの口封じを命じたものだったのです。
しかし、少佐らはお国の命に反し、彼女らを帰宅させようとするのです。純真無垢な少女たちは「このまま家に帰っていいものか?」と疑問を持ちます。そして彼女らと引率の野口先生の決断に打ちのめされるのです。
本作を見た筆者は「ひめゆり学徒隊」とシンクロし、涙が止まらなくなりました。
ただ、財宝の存在という「壮大なフィクション」にあっけとられたことと、復興を遂げた現代日本視点の後付けっぽい台詞が多々あり、今ひとつ乗れなかったことを白状しておきます。
 
■2011年 日本映画/上映時間:134分/監督:佐々部清/出演:堺雅人、中村獅童、福士誠治、ユースケ・サンタマリア、八千草薫、麻生久美子、塩谷瞬、ミッ
キー・カーチス、森迫永依、中野裕太、柴俊夫、ジョン・サヴェージほか
 
(中野豊)