『リライト』映画レビュー 新鮮なタイムリープ映画に絶句する

映画『リライト』には絶句してしまった。展開の振り幅が大きい。尾道を舞台にしたローカル色ある作品なのに、広大な世界を感じさせる。

タイムリープとタイムループ。その違いは、タイムリープは時を超える一度きりの体験で、タイムループは、同じ時間を繰り返すところらしい。映画にはその両方が混在していて、映画の一大テーマと思えるほどたくさん作られてきた。

名作映画が多いのもご承知の通り。『恋はデジャ・ブ(1993)』『オール・ユー・ニード・キル(2014)』、『ハッピー・デス・デイ(2017)』『パーム・スプリングス(2020)』など。その波は日本にも押し寄せている。『リバー、流れないでよ(2023)』、『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022)』が高評価だった。

映画『リライト』は、タイムリープとタイムループの両方が混ざり合わさっている。謎のうちの一つが明かされたあとは、映画史上稀に見るほどの混乱がスクリーンを埋め尽くす。謎はどのように明かされるのか。完璧なループは見られるのか。最後までドキドキさせられる。混乱と言っても、スムースかつ鮮やかで心地よさもある。

夏祭りや花火などその時にしか味わえない涼やかな高校生の夏も忘れがたい。大人になった10年後の世界も同様に懐かしさが風のように吹き寄せる。

主人公の美雪(池田エライザ)は、高校生の夏、転校生の保彦(阿達慶)と出会い、衝撃的なことを打ち明けられた。美雪にとってその夏は特別な思い出となった。そして、その出来事を小説にして後世に残すことを頼まれた。

映画『リライト』は、『リバー、流れないでよ』、「ドロステのはてで僕ら」の劇団ヨーロッパ企画の上田誠が脚本を担当、監督は松居大悟。2012年『アフロ田中』で、長編映画初監督したあと、多数の映画祭受賞作品を担当した経験を持つ。原作は、最悪のパラドックス作品と言われた法条 遥の「リライト」(ハヤカワ文庫)。

それにしても、タイムリープ/タイムループ映画に私も含めて惹きつけられる人が多いのはなぜなのだろう。時間は当たり前に流れているようでいて、主観で変わる。そこにあるのは、わかっているようでわからない感じ。その不思議さが時間を題材にした映画では、強調されるからなのだろうか。

(オライカート昌子)

リライト
(C)2025「リライト」製作委員会
6月13日(金)より全国ロードショー
配給:バンダイナムコフィルムワークス
出演:池田エライザ、阿達慶、久保田紗友、倉悠貴、山谷花純、大関れいか、森田想、福永朱梨、若林元太、池田永吉、晃平、八条院蔵人篠原篤、前田旺志郎、長田庄平チョコレートプラネット)、マキタスポーツ、町田マリー、津田寛治、尾美としのり、石田ひかり、橋本愛監督:松居大悟脚本:上田誠原作:法条遥「リライト」 ハヤカワ文庫)主題歌:Rin音「scenario」音楽:森優太製作・
2025年製作/127分/日本