『カモン カモン』映画レビュー(感想)あらすじ・解説

『カモン カモン』解説・あらすじ

『カモン カモン』とは

『ジョーカー』で演技と存在感で圧倒してくれたホアキン・フェニックスが、『カモン カモン』では温かさとぎこちなさとチャーミングな姿を見せてくれる。『カモン カモン』は、心に輝きを迎え入れてくれるような感動的なヒューマンドラマだ。男の子育てドラマとだけ見るにはもったいない。感動的な奥行きのある作品となった。

監督・脚本は『人生はビギナーズ』、『20センチュリー・ウーマン』のなどのマイク・ミルズ。2021年のナショナル・ボード・オブ・レビュー賞においてインディペンデント映画トップ10に選ばれた他、タイム誌やヴァニティ・フェア誌の有力誌がこぞって年間TOP10映画に選出、オバマ元米大統領が選ぶベストムービーにも選ばれている。

『カモン カモン』あらすじ

ラジオジャーナリストとして生計をたてるジョニーは、ニューヨークでシングルライフを送っていた。疎遠となっていた妹から、連絡が来て、彼女は家族の用事で家を離れなくてはならないという。その間、しばらく前から会っていなかった9歳の甥・ジェシーの面倒を見ることを気軽に引き受けたジョニーだったが、強烈な個性を持ち、好奇心もたっぷりのジェシーに振り回されてばかり。改めて、子育ての大変さを身をもって知ることになる。その経験は、ジョニーにも新たな自分を発見していく機会となっていく。ジョニーとジェシーは次第に心を通わせていく。

『カモン カモン』映画レビュー

ホアキン・フェニックスの笑顔と目が眩しい。『カモン カモン』は、心豊かにゆっくりと癒してくれる。思わず笑顔を浮かべて見てしまう映画だ。

ラジオインタビューアーとしての仕事をこなしなから、気楽な独り暮らしをしていたジョニー。疎遠だった妹から連絡が来た。家族の事情で家を離れなくてはならない。甥っ子の面倒を見てもらう人が必要だ、と。ジョニーは気軽にジェシーの面倒を見るよと、答えたが、実際は思ったより大変なものだった。

モノクロカメラは、デトロイト、ロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオーリンズの四つの都市を上空からとらえる。男の子育て映画でもあるけれど、旅をしている気分にさせてくれるところが素敵だ。

旅は同伴者次第で素晴らしいものになる。あまりよく知らなかった相手の違った面を発見する機会にもなるし、知らなかった自分自身にふと気づく場合もある。『カモン カモン』は、ジョニーとジェシーの心の通い合いが描かれると同時に、二人が心のドアを少しづつ開けていき、本音が飛び出してくる流れが心地よい。

(オライカート昌子)

監督・脚本:マイク・ミルズ 『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』
出演:ホアキン・フェニックス、ウディ・ノーマン、ギャビー・ホフマン、モリー・ウェブスター、ジャブーキー・ヤング=ホワイト
音楽:アーロン・デスナー、ブライス・デスナー(ザ・ナショナル)
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2021年/アメリカ/108分/ビスタ/5.1ch/モノクロ/原題:C’MON C’MON /日本語字幕:松浦美奈
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