シャドウ・イン・クラウド 解説・あらすじ
シャドウ・イン・クラウドとは
ほとんど空中での戦いとなるところが面白い。『シャドウ・イン・クラウド』は、クロエ・グレース・モレッツの主演最新作。第2次世界大戦時代に、女性パイロットが極秘任務を携えて、B-17爆撃機フールズ・エランド号に乗り込み、日本の零戦や、得体のしれない何かと戦うサスペンスアクション。
監督は、新鋭のロザンヌ・リャン。女性ならではの視点が際立つ。2020年・第45回トロント国際映画祭ミッドナイト・マッドネス部門で観客賞受賞作品。
シャドウ・イン・クラウドあらすじ
モード・ギャレットは、連合国空軍の女性大尉。1943年、ニュージーランドからサモアへ最高機密を運ぶ密命を受け、飛び立つ寸前のB-17爆撃機フールズ・エランド号に乗り込む。乗組員は彼女を除けば男性のみ。からかいや心無い言葉をかけられながらも、任務に励む彼女だったが、最初の攻撃は、ゼロ戦だった。爆撃の技で、何とか危機を乗り越えるが、航空機は別のトラブルを起こす。そして彼女は雲の合間で奇怪なものを目にする。飛行機を破壊しようとしているのは、何か別の生き物のようなのだ。下部銃座も脱出が難しくなる。彼女は大切な荷物を守り、脱出することができるのか。
シャドウ・イン・ザ・クラウド 映画レビュー
シャドウ・イン・ザ・クラウドは、美しい女性、秘密の任務、第二次世界大戦中の交戦、モンスターの登場、守らなければならないものなど、思いがけない展開が満載だ。先行きがわからないところに魅力を感じる。
主人公のモードには、クロエ・グレース・モレッツが扮している。ある秘密の任務を持って、絶対開けてはいけないスーツケースを持って、飛行機に乗り込む。他の乗務員は男性のみ。刺激を避けるためか、彼女は、下部銃座に行くように指示される。密室に閉じ込められてしまったわけだ。
男性陣が、最初は、正体がわからない彼女のことを、あることないことを揶揄しつつ、しゃべりまくるのが聞こえてくる。モードは無線で応じるけれど、やがて無線すら切られてしまう。
そして危機が訪れる。ゼロ戦だけではない。怪しい影が雲の隙間から見え隠れする。しかも機体を壊しているらしい。そこから本格的な戦闘映画になってくる。
そしておもしろいのは、戦闘のさなかに、ストーリーが大転回していくところ。映画は、当初思っていたのとまったく違う顔を見せてくれる。この展開には驚かされるね。
監督は女性だ。女性監督がB-17爆撃機の映画を作ることも異例だけれど、女性にしか作れない視点が感じられるところが特別な印象を与えてくれる。プロフェッショナルな女性が、男性のみの職場で良く感じるようなリアルな感触もある。
そして心を動かされるラストシーン。このシーンは、いかにも女性監督ならではのシーンではないだろうか。
シャドウ・イン・ザ・クラウド
公開中!
(C)Atarangi Kiriata Limited 2020
2021年製作/83分/G/ニュージーランド・アメリカ合作
原題:Shadow in the Cloud
配給:カルチュア・パブリッシャーズ