天地明察の画像
(C)2012「天地明察」製作委員会
映画『天地明察』は第7回本屋大賞をはじめとして数々の賞を受賞した冲方丁の小説をV6の岡田准一を主演に起用した時代劇。『おくりびと』の滝田洋二郎監督の作風なのか、極めて丁寧でてらいなく描かれいるのが特徴だ。

主人公の安井算哲は、後に幕府の初代天文方になった渋川春海のこと。碁打ちの家に生まれ、将軍の前で碁を打つこともあり、良きライバルに、史上最強の棋士ともいわれる本因坊道策もいる。

『天地明察』では、そんな安井算哲が、将軍の後見人、会津藩主の保科正之に抜擢され、暦を作りなおす事業にとりかかるストーリーが描かれている。時代は江戸幕府四代将軍・徳川家綱の治世。ほぼ今から300年前のこと。

天地明察の画像
(C)2012「天地明察」製作委員会
当時の暦は、中国から輸入された宣明暦。800年以上も使われており、徐々に実際の天体観測とズレがでてきて、日食、月食も予想から外れる場合が増えてきていた。安井算哲は、新たに中国・元の授時暦の使用を幕府に進言するのだが、その授時暦も日食予想を外してしまう。そこから安井算哲の天体を相手にした本気のリベンジマッチが始まる。

とはいえ、こっちは優れた天文知識と算術知識があるだけの一人の男。相手は天体である。そんな簡単にことは進まない。誠実さとひたむきさを武器に天体相手の勝負が描かれる。極めて淡々と、わかりやすいのが映画『天地明察』の特徴だ。

一人の男の実直で真っ直ぐな闘いは、江戸初期のまだ素朴さとおおらかさの残る時代への郷愁と共に、天体への畏れの感情を沸き立ててくれるはず。
(オライカート 昌子)

天地明察
日本映画/監督:滝田洋二郎/出演:岡田准一、宮崎あおい、中井貴一、松本幸四郎/原作:冲方丁 「天地明察」(角川書店刊)/共同配給:角川映画/松竹
9月15日(土)全国ロードショー
天地明察オフィシャルサイトhttp://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html