『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』映画レビュー

タイムループ映画が好きでたまらない。その理由の一つは、外れがないこと。様々なジャンルで楽しい作品が、選び放題であること。『恋はデ・ジャブ(1993)』は、傑作認定されている。『オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014)』はSFアクションタイムループが新鮮。『ハッピー・デス・デイ(2017)』はホラー/サスペンス系。『パーム・スプリングス(2020)』は、恋愛コメディの高評価作だ。

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は、まさかの邦画、しかもタイムループ映画としては、初のオフィス/コメディ系だ。タイムループ映画に期待される楽しさは満載。しかもテーマは深遠だ。

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』では、月曜スタートの一週間ループ。済んだ仕事がまたやってくる。延々と。地獄度の高いオフィスワークが続く。

舞台は小さな広告代理店。若手のやり手として、吉川朱海(円井わん)は大手の会社から引き抜きの打診を受けている。だから、多少の無理でもやり抜こうという意欲を持っている。とはいえ、月曜の朝に、ボロボロになってオフィスで目を覚ますとなると、さすがにきつい。同僚はみんな同じ状況。眠い目をこすっている。また新たな一週間が始まるのだ。

吉川は後輩から、言葉をかけられる。「僕たち、ループしているんですよ」と。もちろん最初は相手にしない。ところが、ループしているとしか思えないことがいくつもあった。そのカギは鳩。

彼らは、過酷な一週間ループを抜け出すチャレンジに挑む。タイトル通り「上司に気づかせないと終わらない」ため、階段を上るように直属の上司にループ状況をわかってもらう方法をとる。なぜなら、階段の一番上の部長が、ループの原因を作っていると思われるから。

上司の個性に合わせてループを納得させていく。ループ状態のため、何度でもトライできるから、仕事のスキルも伸びていく。今までよく知らなかった同僚・上司の個性も際立っていく。そのくだりが愉快。オフィスコメディの王道をじっくり楽しめる。

その後、ひねりが起きて、ミッションは方向転換していく。そして映画のテーマの深遠化につながっていくところがみどころだ。やっぱりループ映画は楽しい。どうぞもっと邦画のループ映画を作ってください。

(オライカート昌子)

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない
10.14(金)
東京・渋谷シネクイント、大阪・TOHO シネマズ梅田、名古屋・センチュリーシネマ
先行公開
10.28(金)より全国にて順次公開
配給:PARCO
© CHOCOLATE Inc.
出演:円井わん マキタスポーツ
長村航希、三河悠冴、八木光太郎、髙野春樹、島田桃依、池田良、しゅは
まはるみ 監督:竹林亮 脚本:夏生さえり・竹林亮
主題歌:lyrical school「WORLD’S END」(BOOTROCK Inc.) 上映時間:82 分