デス・ウィッシュとは 普通の男が復讐の鬼と化す物語
『デス・ウィッシュ』は、往年のアクションスター、ブルース・ウィルスの最新主演作。家族が襲われたことをきっかけに、外科医から復讐の処刑人へと様変わりする男が主人公のハードアクションです。
『デス・ウィッシュ』は、その後シリーズ化されたチャールズ・ブロンソン主演の1974年の『狼よさらば』のリメイクです。監督には、現在公開中の『ルイスと不思議の時計』や、『ホステル』シリーズ、『ノック・ノック』などのイーライ・ロス。
デス・ウィッシュ あらすじ
敏腕外科医として、生と死が紙一重のシカゴの現場で働いていたポール・カージー(ブルース・ウィルス)の唯一安らげる場所は、家族。愛する妻(エリザベス・シュー)と大学入学を控えた娘(カミラ・モローネ)とともに裕福で幸せな日々を送っていた。
結婚記念日に家族とディナーに出かける予定が、急患が入ったことで、ポールは病院に行かなくてはならず、妻と娘だけが家に残された。そこに何者かが侵入し、ポールの妻と娘に襲い掛かかる。
悲嘆の中にいたポールの唯一の頼みの警察。だが極悪事件が山積する中、警察の捜査はいつまでも進まず、彼の心は落ち込む。ある日テレビで銃砲店のCMを目にしたポールはその店を訪れるが、何も買わずに店を出る。そして病院で救急患者が落とした銃を何気なくポケットにいれたポールは、youtubuで銃の扱いを勉強しつつ、シカゴの町の自警団として活動を始める。彼の復讐の思いは遂げられるのか?
デス・ウィッシュのみどころ
デス・ウィッシュのみどころ その1 誰もが知らない自分を抱え持つ。今まで知らなかった自分とどう付き合うのか。
ポール・カージーは、平凡な生活に満足していた普通の男。そんな彼が、悲劇に襲われます。悲嘆の中で荒廃する日々。彼は銃を手にしたことで、少しずつ変わっていき、次第に今まで知らなかった自分に出会います。
今まで知らなかった自分と出会ったことで、悲嘆は正義の思いに変わり、行動を開始することで新たなエネルギーが生まれてきます。善悪はともかく、その過程がみどころのひとつ。小さなきっかけが、新たな自分を生み出していきます。
デス・ウィッシュのみどころ その2、ブルース・ウィルスの魅力を再確認
『ダイ・ハード』シリーズでスターの地位を勝ち取ったブルース・ウィルスの魅力は、ごく普通の隣人的な人懐こさ。決して荒々しく感じない姿は、アクションスターには見えませんが、一旦行動を開始すると、覇気が垣間見えるところもみどころです。
日々業務に励む外科医としての姿と、冷酷な処刑人は、両立しないイメージですが、ブルース・ウィルスが演じることで、好ましさがプラスされます。男らしさに溢れるチャールズ・ブロンソン版とはまた違った、共感を誘いやすいポール・カーシーとなっています。
デス・ウィッシュのみどころその3、映画の広がりの鍵はSNS
現代の映画で欠かせないツールになりつつあるのが、snsです。何かをしても誰がどこで見ていて動画を撮られて拡散させられるかわからない現代。この映画でも、ポール・カーシーの処刑現場が、たちまち拡散されていきます。「死神(リーパー)」と名づけられ、正義なのか悪なのか、議論を呼びます。
そうなると、警察も動かざる得ません。警察がリーパー(ポ-ル・カーシー)を追い詰めていくところもスリリング。SNSがサスペンスをプラスしているのです。
デス・ウィッシュのみどころその4、共演者の魅力
ポ-ル・カーシーの妻を演じているのは、エリザベス・シュー。一時は美人女優として、大活躍していた彼女は、『リービング・ラスベガス』(1995)には、アカデミー賞をはじめ各章にノミネート、受賞。最近でも『バトル・オブ・セクシーズ』(2017)に出演。50歳を超えてもなお、美しさで映画に華やかさを与えています。
娘を演じているカミラ・モローネはモデルとして活躍中で、今回は初めて映画で大きな役に挑んでいます。抜群のスタイルと可憐さは、目を引きます。
共演者として一番の目玉は、ポールの弟をフランクを演じる、ヴェンセント・ドノフリオとレインズ刑事を演じた、ディーン・ノリス。
ヴィンセント・ドノフリオは、最近では『ジェラシック・ワールド(2015)』の悪人が強く印象に残っていますが、『デス・ウィッシュ』では兄思いの心温かさが感じ取れる演技。
ディーン・ノリスは、TVシリーズ『ブレイキング・バッド』や『アンダー・ザ・ドーム』で頭角を現しました。力の抜けた存在感の中に時折光る鋭さが持ち味。両者とも、あくの強さと円熟の演技力で映画を引き締めています。
(オライカート昌子)
デス・ウィッシュ 作品情報
(C)2018 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.
2018年10月19日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:イーライ・ロス『グリーン・インフェルノ』、『ノック・ノック』
脚本:ジョー・カーナハン『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
出演:ブルース・ウィリス、ビンセント・ドノフリオ、エリザベス・シュー、カミラ・モローネ、ボー・ナップほか
配給:ショウゲート
提供:ポニーキャニオン、博報堂DYミュージック&ピクチャーズ
公式サイト:http://deathwish.jp/
2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/107分
原題:Death Wish/R-15+