アメイジング・スパイダーマンの画像
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サム・ライミ版『スパイダーマン』の大ファンだったので、リブート版の『アメイジング・スパイダーマン』誕生には複雑な気持ちがあった。果たしてサム・ライミ版、の一作目、二作目の高いレベルを凌ぐ程の作品が可能なんだろうか、なんて思っていたのだ。

心配は杞憂だったし、マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン』の完成度の高さは、サム・ライミ版を一気に過去のものに押しやった感がある。ストーリーが同じなら見なくてもいいかな、なんて思っている人がいたら、非常にもったいないと言っておこう。ストーリー自体別物だ。

『アメイジング・スパイダーマン』の特徴は、あくまでも高校生としてのピーター・パーカーが主人公というところ。思春期の揺れる心理と振る舞い、ぎこちなさの残る恋愛模様のリアルさが、みどころの一つだ。ピーターとグウェンの会話のシーンの面白さは、恋愛映画として見ても相当際立っている。『(500)日のサマー』で恋愛映画の名手の座に躍り出たマーク・ウェブ監督だけのことはある。

アンドリュー・ガーフィールドが演じるピーター・パーカーは当初は手足を持て余している不恰好な高校生そのもの。映画の速度に応じて成長し、スムーズで美しい動きを獲得していく。

エマ・ストーンの愛くるしさも格別だし、コナーズ博士/リザードを演じるリース・イーヴァンズの確かな演技力もみどころ。マーティン・シーン、サリー・フィールドの叔父・叔母夫妻もさすがの存在感。

最後には泣けるシーンも用意されている。ほんとうに心からいいものを見たという感慨を持つ観客も少なくないはずだ。今後のシリーズの行方がとても気になる、必見作。                 (オライカート昌子)

アメイジング・スパイダーマン
2012年 アメリカ映画/136分/監督:マーク・ウェブ/出演:アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン、リース・イーヴァンス、デニス・リアリー、キャンベル・スコット、マーティン・シーン、サリー・フィールドほか/配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2012年6月30日(土)より、TOHOシネマズ日劇ほか世界最速3D公開
オフィシャルサイト http://www.amazing-spiderman.jp/