ラム・ダイアリーの画像
(C)2010 GK Films, LLC. All Rights Reserved.
年季の入ったジョニー・デップのファンの中には、最近のお子様向け映画ばかりに出ているジョニー・デップは気に入らない、オフビートで玄人好みの、一癖ありそうな映画のほうが、ジョニー・デップにはぴったりなのだと思っている人もいるだろう。

ラム・ダイアリーは、そんなファンの方にはお待たせしました的な、ファン垂涎の映画だと思う。普通の格好をしたジョニー・デップがアルコール(ラム酒)漬けになりながら、冒険(?)をし、恋をする。しかもカリブ海に浮かぶ国プエルトリコが舞台だ。

1950年代のカラフルで南国ムードたっぷりなプエルトリコの描写が素晴らしい。美しく、同時に危険でもある場所だ。ジョニー・デップが演じるのは、ジャーナリストとして一旗揚げようと地元の新聞社で働き始める男、ポール・ケンプ。怪しげな男たちが次から次へと現れる中、彼は泳ぐように自然体で南国の危険な楽園に馴染んでいく。

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その中でも一番怪しげな雰囲気を持って登場してくるのが、アメリカ人起業家アンダースン。演じているのは、アーロン・エッカート、演技派だ。ごく普通の夫を演じても、変わった男を演じても、それなりに絶妙な演技を見せてくれる彼が、この映画では得体しれなさで魅せてくれる。

ポール・ケンプはアンダースンの婚約者に惚れてしまう。つまり三角関係が発生する。ポール・ケンプ(ジョニー・デップ)、アンダースン(アーロン・エッカート)の二人に愛される女性、シュノーを演じるアンバー・ハードの美しさは別格。アンダースンとシュノーの水上のラブシーンを目撃してしまい、目が離せなくなってしまうジョニー・デップの演技にも注目だ。

映画の持つ妙にゆったりとしたテンポのせいだろうか。見ているうちに次第にタイムトリップして当時のプエルトリコにいるような気分にさせられる。その不思議な余韻は、原作者ハンター・S・トンプソンが実際に体験した出来事がもとになっているからかもしれない。   (オライカート昌子)

ラム・ダイアリー
2011年 アメリカ映画/120分/R-15/監督:ブルース・ロビンソン/出演: ジョニー・デップ、アーロン・エッカート、マイケル・リスポリ、アンバー・ハード、リチャード・ジェンキンス、ジョヴァンニ・リビシほか/配給:ショウゲート

2012年6月30日、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
オフィシャルサイト http://rum-diary.jp/