『終点のあの子』解説
『終点のあの子』とは
高校生同士の関係性を鮮やかに描いた作品。原作は、小説家・柚木麻子のデビュー作、『終点のあの子』。4編からなる原作小説の第1話にあたる柚木のデビュー短編「フォーゲットミー、ノットブルー」を中心に映画化。
『終点のあの子』監督・キャスト
監督は、『愛の病』(18)、『Sexual Drive』( 21)、『スノードロップ』(25)など、マイノリティをモチーフに映画を制作し、国内外の映画祭で高い評価を受ける吉田浩太監督。

希代子役で當真あみ、朱里役で中島セナが主演を務め、同級生の奈津子を平澤宏々路、クラスのリーダー的存在・恭子を南琴奈、希代子の先輩で美大生の瑠璃子を深川麻衣、希代子の母・美恵子を石田ひかりが演じた。
『終点のあの子』映画レビュー

『終点のあの子』でテーマとして描かれるのは、高校生によくあることだ。わたしもあなたも多少は経験したことがあるだろう。無論、高校生に限らない。大人の社会だって、幼稚園にだって、老人ホームにもあること。
「人との距離のとり方」の問題だ。完璧にマスターすることなんて、誰にもできない問題でもある。日々人間関係は変わり、初めて出会う人もいる。ストレスが多いか少ないかの違いがあるだけ。

そんなありふれているけれど大切なテーマを『終点のあの子』は、繊細にまっすぐに描き抜く。相当な力技だ。
エスカレーター式の私立女子高の登校初日は特別だ。誰と仲良くし、誰とお昼を食べ、誰と登下校を一緒にするのか。主人公の希代子は、内部進学生だ。中学時代からの知り合いも多い。人間関係はなんの問題もないはずだった。

そこにちょっと変わった学生が登場する。制服があるのを知らなかったと青いワンピースで登校。気軽に話しかけてくる。希代子は気になり、やがて仲良くなった。そこからスタートするのは、夜の暗い道をたどるようなプロセスだ。
仲良くしていても、その中身が何なのか普通は知らない。相手の真意を知ることはできない。暗闇の中の信頼の問題だから。
切実なストーリーを流れるような語り口で優しく見せてくれる監督の技はさすがだ。ポスターにもあるようにマリー・アントワネットのイメージが映画に華やかさをプラスしている。
テーマはどのように収束するのか。「人との距離の取り方」は、やがて「自分との付き合い方」に変わっていくような気がする。人の心の中の課題は、誰もが自力で溶きほぐしていくしかない。
終点のあの子
2026年1月23日(金)より、テアトル新宿ほか全国公開
配給:グラスゴー15
(c)2026「終点のあの子」製作委員会
原作:柚木麻子『終点のあの子』(文春文庫)
監督・脚本:吉田浩太
出演:當真あみ、中島セナ、平澤宏々路、南琴奈
新原泰佑、小西桜子、野村麻純、陣野小和/深川麻衣、石田ひかり





