『ジョン・ウィック』映画レビュー

Motion Picture Artwork(c)2015 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.(c)David Lee
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最近のキアヌ・リーヴスは、ちょっと地味だった。前作の『47RONIN』は、楽しめる映画だったが、主演のキアヌが役柄に100%マッチしていたかというと、そうでもない。映画自体もヒットしなかった。

そろそろ、カッコいいキアヌ・リーヴスが見たかったところだ。そこで、ジョン・ウィックだ。元殺し屋の役である。結婚をきっかけに引退し、幸福な生活を送っていた。なのに、平穏な人生は早くも崩壊してしまう。妻の死は病気で、誰のせいでもない。だが、妻からの最後の贈り物が奪われたとき、ジョン・ウィックは立ち上がる。

彼と対立するのは、強力な力を持つロシアンマフィアの一団だ。ジョン・ウィックの正体を知らないボスの息子が、ちょっかいを出してきたところから、抗争がスタートする。そもそも、ロシアンマフィアの組織自体、引退前のジョン・ウィックに支えられてきた。そして勢力を拡大する助けになったのも、彼だったというのに。

秀でたスキルを持つ男が、やむにやまれぬ理由で、強大な組織に単身挑むというのは、よくある話である。リーアム・ニーソン主演の『ラン・オールナイト』も形は同じ。料理で言えば、基本レシピのようでもある。腕次第で効果が生まれ、味付けや素材の違いで、面白さが決まる。

ジョン・ウィックの場合は、無法者たちが、唯一くつろげるホテルというのがユニーク。そこでは、敵同士が出会っても手出し無用の掟が支配する。クリーニング(!!)を頼むときは、金貨を用意する。そして電話でディナーを予約する。そうすると、血やその他のものの掃除のための軍団が直ちに現れるというのも漫画チックで面白い。

だが、唯一無二のアイデアは、キアヌ・リーヴスの起用だろう。引退後の当初は、どこにでもいるぬるい感じの男だ。ところが、いったん事が起こると、鋭さが増し、切れが生まれ、すさまじいアクションを見せてくれる。キアヌ・リーヴスの健在ぶりにエールを送りたい。ジョン・ウィック2の製作が早速決まったのことも納得である。 (オライカート昌子)

ジョン・ウィック
2015年10月16日(金)、TOHOシネマズ新宿ほか全国公開
公式サイト http://johnwick.jp/