ローグ 映画レビュー(感想)あらすじ・解説

映画『ローグ』解説・あらすじと映画レビュー(感想)

映画『ローグ』とは


『ローグ』の監督は、『サイレントヒル :リベレーション3D』とTVシリーズ「死霊のはらわたリターンズ」の監督、M・J・バセット。アフリカの危険地帯を舞台に、テロリストとライオン相手の決死のサバイバルアクションが繰り広げられる。傭兵チームには一部元軍人も器用。監督自身、特殊部隊の訓練を受けていることから、作品に説得力を与えている。共同脚本を執筆した娘のイザベルは、テレサ役で出演。主演には、ミーガン・フォックス。

映画『ローグ』あらすじ


誘拐された政治家の愛娘を救出するためににアフリカの危険地帯へ降り立つ傭兵チームだったが、人質は解放したものの、救出任務には失敗。テロリストたちの追手から逃れるため、河にダイブまでするものの、うまくいかない、残り少ないチームのメンバーはやっとのことで無人の廃墟と化している農園にたどり着くが、そこにはライオンがいた。弾薬も不足している上、救援部隊を呼ぶにも無線も使えない。そんな中、追手が迫ってくる。

ローグ 映画レビュー(感想)


女性がアクション映画の主人公を演じる映画も増えている。カッコいい映画も多い。『ローグ』はそんな映画だ。

アフリカを舞台に、生と死の間の細い道を行くサバイバルアクションでもあり、傭兵チームの人質奪還作戦を描いている。傭兵チームを率いるサムは、若く美しい女性。ミーガン・フォックスが演じている。

今まで『トランスフォーマー』シリーズや『ミュータントタートルズ』でエンタメ系の大がかりな映画の紅一点を華やかに演じてきた。彼女が指揮官を演じるのは違和感があるかもしれない。だが悪くない。

サムはほとんど表情を表わさず、心の中も固く閉ざされている。ひたすら任務の遂行だけに的を絞っている。まるで機械のようだ。司令官としては理想的な存在にも見える。優れているからこそ、リーダーなわけだ。

だがこの任務は難しく、犠牲者はうなぎのぼりとなる。当面の敵は、高校から有力者の娘や生徒を人身略取したテログループ。人質たちを解放し、なんとか無人の農園にたどり着いたが、そこには獣がいた。傭兵チームは、一人また一人と犠牲を増やしていく。

負傷者の世話もある。電気もない。応援もたどり着くまで時間がかかる。テロリストグループにも場所がバレてしまう。このあたりの描写は、コンバットアクションと言うよりは、ホラーサスペンスの味わいだ。次の犠牲者はだれなのか、誰が生き残ることができるのか。


監督が娘さんと共同で書いたという脚本は、女性ならではの目線と、人間的温かみも忘れていない。実際には、アフリカや世界の各地で『ローグ』で描かれているよりも悲惨なことが起きているのは否定できない。人間が動物に対して行っている虐待も痛ましい。

ところで、『ローグ/Rogue 』という言葉は、映画のタイトルでよく使われている。『ローグ・アサシン』、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』など。元々の意味は「ならずもの」だが、映画のタイトルとしては、悪人の意味が多い。ローグワンは反乱者だが。

映画『ローグ』では映画中にも出てくるが、”はぐれもの”という意味で使われている。それはサム自身を表わしていると同時に、獣の正体でもある。自分の本来の生き方を全うしようとするときには、”はぐれもの”になるほかないのだろうか。『ローグ』は、一人で生きる厳しさとともに背筋をビシッと伸ばしてくれる作品でもある。

オライカート昌子

ローグ
(C)2020 Mannequin Phoenix (Pty) Ltd. and Phoenix Wallace Limited
5月7日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:M・J・バセット『サイレントヒル:リベレーション3D』/脚本:イザベル・バセット、M.J.バセット
撮影:ブレンダン・バーンズ『ミアとホワイトライオン奇跡の1300日』/
音楽:スコット・シールズ、ジャック・ハラマ
編集:アンドリュー・マクリッチ
出演:ミーガン・フォックス『トランスフォーマー』、フィリップ・ウィンチェスター『フライングボーイズ』、グレッグ・クリークブランドン・オーレ『エリジウム』、ジェシカ・サットン『エスケイプ・ルーム』、ケネス・フォク
020年/南アフリカ・イギリス/カラー/シネマスコープ/5.1ch/106分/英語/PG12/原題:ROGUE字幕翻訳:大嶋えいじ配給:クロックワークス