ジェントルメン は面白い?見逃せないみどころポイントを解説します。あらすじと映画レビュー(感想)

映画『ジェントルメン』を3倍楽しむ!

映画ジェントルメンとは

映画ジェントルメンは、ガイ・リッチー監督の最新作。豪華キャストや気の利いたセリフ、謎解きやひねった展開、思いがけないラストなどが詰まった宝箱のような必見映画です。映画『ジェントルメン』をより楽しむため、映画レビューに加えて、見どころポイントを解説してみました。

映画『ジェントルメン』のあらすじと見逃せないポイントを解説

映画『ジェントルメン』見逃せないポイント その1 何度も見たいオープニングタイトル

優れたオープニングタイトルの映画は、映画への期待を最大に盛り上げます。そういう意味では『ジェントルメン』のオープニングは見ごたえ十分。『Cumberland Gap』という曲にあわせて、登場人物が描画で表現されていますが、各々のベストシーンが使われているのです。

映画『ジェントルメン』見逃せないポイント その2 何重もの入れ子構造、二転三転、ひねりと想像以上のラスト


映画の入れ子構成は、劇中劇とも言いますが『ジェントルメン』の入れ子構造は、いくつもあります。まずオープニングシークエンスのバーのシーンから始まって、次に主人公のミッキーの右腕レイ(チャーリー・ハナム)のリビングでゲスな探偵フレッチャーが語る映画の脚本としてのストーリーが語られます。

この二つが大きな入れ子な入れ子になっていますが、さらに隠されたストーリーも後半になって披露され、どんでん返しにつながっていきます。

映画『ジェントルメン』見逃せないポイント その3 スターキャストの技能を凝らした演技力と華&個性が輝く登場人物


主人公のミッキー・ピアソン(マシュー・マコノヒー)は、元々は「貧しくハンサムなクソ野郎のアメリカ人」。彼がどのようにイギリスの上流階級相手に高級マリファナを供給する組織のトップになったのか。フレッチャーが3分で語ります。

ミッキーの片腕レイ(チャーリー・ハナム)は、ゴッドファーザーでのロバート・デュヴァル演じる相談役さながら頼もしさ。ヒゲと眼鏡でスター性を封印していますが、チャーリー・ハナムは、同じガイ・リッチー監督の『キング・アーサー』で見せてくれた輝きも見え隠れしてくれるところがポイント。

【コーチ】を演じるのはコリン・ファレル。嫌々筋を通す男を余裕で見せてくれます。こちらもチャーリー・ハナム同様、変装に近い外見ですが、さすがスターの貫禄です。

映画『ジェントルメン』見逃せないポイント その4 英国の知られざる知識がムダにつく

ピクルドエッグ
最初のシーンでミッキーがオーダーするのは、ビールとピクルドエッグ。英国パブの定番メニュー。ピクルドエッグとは、簡単に言うと、酢漬けゆで卵。

英国の通行権
英国では、公共の権利として私有地でも通行が許可されるフットパスがあります。このため、草原でも畑地でも、柵を乗り越えても歩くことが可能。散歩。ハイキング。通勤通学に誰の土地であろうと進んでいきます。この事実は映画の中ではかなり重要?

貴族の没落
ダウントンアビー並みの宮殿のような屋敷に住んでいる上流階級の人々。実はその裏で、屋敷の維持が簡単ではないことが映画の中で明かされます。例えば、相続税は50%。しかも定期的に屋根の修復などを行わないといけないのです。先祖代々のお屋敷だからといって、そこまでしないといけないの? と思わされます。

映画『ジェントルメン』あらすじ

アメリカ人のミッキー・ピアソン(マシュー・マコノヒー)は、ロンドンで高級大麻を富裕層に供給するというビジネスを起こし、資産を築いた。そのミッキーがビジネスから足を洗うという噂が駆け回り、裏社会は不審な動きを見せる。

そんな中、ミッキーの右腕レイのもとにやってきたのは、ゲスな私立探偵フレッチャー。調べ上げたネタを映画にすると、口止め料を要求しようとする。

映画ジェントルメン映画レビュー

久しぶりに味わう文句なしに痛快な映画だ。ストーリーの語り口が洗練されている。広げられた細部の伏線が最後に回収されるところもスカッとさせてくれる。

最初のシーンは、主役のミッキー・ピアソンがバーに入ってくるところから。ビールと卵を注文し、ジュークボックスでレコードをかける。曲は、デヴィッド・ロウリングスの曲、Cumberland Gapだ。

ミッキーが誰かに電話をかけているとき、銃声がして血が飛び散る。そして、オープニングタイトルに続く。ミッキーは、最初のシーンで死んでしまったのだろうか? 誰に電話をしていたのだろうか。銃を撃ったのは誰? なんというスタートだろう。

キャストと監督の楽しさが伝わってくる調和の妙。悪人とヒーローの細い分岐点など、見どころは数多い。

『ジェントルメン』は、麻薬(この場合はマリファナ)密売の犯罪組織映画だ。それなのに、タイトルは『ジェントルメン』。つまり紳士たち。そこには飛躍がある。けれど、その飛躍こそが映画の一番の見どころだと思う。

犯罪組織は、楽な方法で短期間で、大金が稼げるイメージがあるものの、継続も参入も、通常組織の何倍も難しい。成功のための競争率も高い。つまり、犯罪組織を営むということは、普段から常に敵に囲まれているということでもある。


サバイバルのためなら、何をしてもいいと思うのが、悪人だとしたら、ミッキーも悪人として生きてきた。本人もそれを自覚している。ある時点で”紳士”へと変わろうとする。莫大な利益をもたらす秘密の大麻農園を譲ることにするのも、そのための一つの方法だ。だがそこから大きな問題が広がっていく。

最低限でも人の道にかなった生き方を求めるミッキーは、悪人がひしめく世界でどのように危機を突破しようとするのか。『ジェントルメン』では、そこに焦点を当て描いている。かっこよく、わかりやすく。

最初のセリフは「疑いは混乱を生み、破滅を招く」。言いかえれば、信頼は調和を生み、繁栄をもたらす。「ジャングルの王はうわべだけでなく、本物の王にならなくてはならない」と言うミッキーは、本物の王(ジェントルマン)になれたのだろうか。この映画の刺激は癖になる。

オライカート昌子

ジェントルメン
(C)2020 Coach Films UK Ltd. All Rights Reserved.
5月7日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
監督/脚本/製作:ガイ・リッチー
主演:マシュー・マコノヒー/チャーリー・ハナム/コリン・ファレル/ミシェル・ドッカリー/ヘンリー・ゴールディング
/ジェレミー・ストロング/ヒュー・グラントほか
【2020年|英・米合作|カラー|スコープサイズ|5.1ch|上映時間:113分|字幕翻訳:松崎広幸|原題:THE GENTLEMEN|PG12】
配給:キノフィルムズ提供