『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』超豪華パニックだけでないバディもの感動作だ

大規模ディザスター・パニック作品は、映画の華の一つ。『新感染 ファイナル・エクスプレス』シリーズで、ゾンビ映画のスケールを拡大して感動超大作にしてしまった韓国映画から、新たな超娯楽作が誕生した。

『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』は、一見、ディザスターパニックアクション映画、だが、それだけではない。内容が濃いところが豪華この上ない。噴火、地震、タイムリミットものに加えて、コンバットアクション、スパイ、バディもの要素のバランスが、行き届いた細やかさで配置させられている。その心地よさは癖になりそうだ。

最初の大地震シーンの規模の大きさ、なまなましさは迫力がある。そして、一番の見どころは、大噴火を止めるというミッションの遂行から、人情バディ映画に昇華発展していくところ。

その日が除隊となっていた韓国軍爆発物処理班のチョ・インチャン大尉は、帰宅中だった。家には臨月の妻がいる。そこに襲ってきたのは、街中を破壊する大地震。何が起きたのか。今までさんざん危険を報じられてきた白山の噴火が起きてしまった。

噴火は止まらない上、巨大マグマ溜りが、半島を破壊し尽くすまで時間もない。政府は、成功率わずかの核弾頭をマグマに打ち込むことで破滅的事態を突破するという作戦を立てる。そして弾頭の隠し場所を知る工作員、リ・ジュンピョンに接触を試みる。

三大スターの競演には心が躍る。チョ・インチャン大尉はハ・ジョンウ。リ・ジュンピョンにイ・ビョンホン。そして当初から白頭山の噴火に警鐘を鳴らし、今回の作戦の立案を担う学者カン・ボンネにマ・ソンドク。

ハ・ジョンウ、イ・ビョンホン、マ・ソンドクの三人とも、大スターの貫禄と、技能と存在感をあますところなく魅せてくれる。敵役からバディもの的変化を遂げていくチョ大尉と、工作員のリ・ジュンピョンの演技合戦はおかしくも切ない。

『藁にもすがる獣たち』のレビューにも書いた、韓国映画に見受けられるストーリー上の枠というか、ルールは、『白頭山(ペクトゥサン)大噴火』でも健在。このルールを知って見ると、映画の骨格がわかる。最後はどうなるか、察しがついてしまうけれど、その上で作り手の意図や技能がもっと楽しめるわけだ。

ちなみにこのルールとは、「悪いことをしてしまうと、その報いを受ける。小さな悪でも同じ。いい人が悪いことをしても、しっぺ返しが起きる。独特なのは、その釣り合い具合のバランスの良さ」のこと、つまり因果応報だ。江戸時代の歌舞伎作品みたいけれど。


(オライカート昌子)

白頭山大噴火

出演:イ・ビョンホン『MASTER/マスター』 ハ・ジョンウ『神と共に』シリーズ
   マ・ドンソク『新感染 ファイナル・エクスプレス』
 チョン・ヘジン『名もなき野良犬の輪舞』 ペ・スジ『建築学概論』
監督:イ・ヘジュン『彼とわたしの漂流日記』 キム・ビョンソ『監視者たち』(監督・撮影)、『神と共に』シリーズ(撮影)
提供:ツイン・Hulu/ 配給:ツイン 
公式サイト  paektusan-movie.com 公式twitter  @paektusan_movie

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