『オペレーション・フォーチュン』映画レビュー ジェイソン・ステイサムがチーム戦に挑む!本質を突いたスパイ・コメディ

『オペレーション・フォーチュン』は、ガイ・リッチー監督の本格派スパイ映画。主演にジェイソン・ステイサム。彼が演じるのは、繊細かつ、ゴージャスなスパイ、オーソン・フォーチュン。ジェイソン・ステイサムと言えば、野性味とシリアスさを持ち、ひたむきな役柄が多かった。今回は正反対なのに、似合わないどころか、なかなか様になっている。ガイ・リッチー監督は、ジェイソン・ステイサムを見出し、5作品で起用しているだけあって、ステイサムの魅力を知り抜いているのだろう。

『オペレーション・フォーチュン』は、雰囲気的には、『007』シリーズを意識している。音楽や、世界を股にかけた作戦など。

だが、ジェイソン・ステイサムの単独主演というよりは、チーム映画だ。そういう点では、『ミッションインポッシブル』風。特徴ある寄せ集めキャラクターのチームメンバーのやり取りが楽しい。

名目上のチームの司令塔であるネイサン役に『ソウ』シリーズでおなじみのベテラン、ケイリー・エルウィズ。キュートだけど凄腕のハッカー役に、オーブリー・プラザ、スナイパーの技術があるJJ役にバグジー・マローン。フォーチュンを中心としたこの4人が中心となっているが、残りの二人に特に注目だ。ハリウッドスターのダニー・フランチェスコに、ジョシュ・ハートネット、映画に一気に華やかさをプラスしてくれている。そして、武器商人グレッグ役に年齢と凄みを増したヒュー・グラント。

『オペレーション・フォーチュン』は、二つの謎を解いていくのがメインストーリーだ。「ハンドル」と呼ばれている品物が、ウクライナの研究施設から強奪された。ハンドルの正体は、わからない。けれど、100億ドルで闇取引されている。それはいったい何なのか。二つ目の謎は、ハンドルを追跡・回収していく過程で、邪魔を入れてくる組織の正体だ。

興味深いのは、最後にわかるハンドルの正体が、今の世界の今後を知る上でとてもリアルなものだという点だ。普通のスパイ映画だと、組織も武器もリアルな世界とのリンクをあまり感じない。けれど、ハンドルに関しては、”危機”、あるいは”変化”が、実際に私たちの身近で差し迫っていて、切実だ。

スパイアクションという衣にくるまれていても、本質を突いた作品として『オペレーション・フォーチュン』は、内容まで実にゴージャスなのだ。

(オライカート昌子)

オペレーション・フォーチュン

10 月 13 日(金)TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー

配給:キノフィルムズ
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© 2023 MIRAMAX DISTRIBUTION SERVICES, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
ALL MOTION PICTURE ARTWORK © 2023 STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
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監督・脚本・製作:ガイ・リッチー
出演:ジェイソン・ステイサム、オーブリー・プラザ、ジョシュ・ハートネット、ケイリー・エルウィズ、バグジー・マローン、エディ・マーサン、ヒュー・グラント
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補足情報
2023 年|英・米合作|英語|カラー|スコープサイズ|DCP|114 分|字幕翻訳:大西公子|原題:Operation Fortune: Ruse de Guerre|G
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
公式 Twitter(@opf_jp):https://twitter.com/opf_jp 公式 HP:https://operation-fortune.jp