『スペース・プレイヤーズ』面白レビュー

ワーナー・ブラザースの自虐映画である。

一昨年前、映画『リチャード・ジュエル』ご紹介時、

「ワーナー・ブラザースが、映画製作の意思決定でAIを導入するらしい」と、

お話したよね。

膨大な過去のデータから、どの映画企画を採用すべきか、

ひとつのAIコンピューターが判断することになるってお話。

はたして、AIは正しい判定を下せるのか。

その答えが、映画『スペース・プレイヤーズ』なのかもしれない。

25年前の大ヒット映画『スペース・ジャム』(1996)。

あの夢をもう一度、というわけだ。


AIコンピューター君が、2匹目のドジョウを見つけたわけだね。

『スペース・ジャム』のヒーローは、マイケル・ジョーダンだった。

今回『スペース・プレイヤーズ』のそれは、レブロン・ジェームズ。

なんと、『スペース・ジャム』は、

製作費80億円で230億円もの興行収入を得ていたんだね。

AIコンピューターの目にはキラキラと舞い上がる

米ドルマークが映っていたんだね。

だから新旧ストーリーのコンセプトに大きな違いはない。

バスケ界のスーパースター、レブロン・ジェームズと息子のドム。

ある日、映画会社のAIスーパーサーバー“ワーナー3000”に

吸い込まれてしまった2人。


そこは、キングコング、バットマン、ジョーカー、

『マッドマックス』や『マトリックス』に登場するキャラクターたちが住む

“バーチャル・ワールド”だった。

その世界の支配を目論む男、アル・G・リズム(名優ドン・チードル)は、

システムに迷い込んだ息子のドムを誘惑し、父親レブロンと

試合で戦うよう仕向ける。

息子を助けるにはアル・G・リズムが揃えたゲームキャラクターの

グーンスクワッド【最強の殺し屋軍団】に勝たなくてはならない。

負ければ再び元の世界には戻れなくなってしまう極限のゲーム…

こうして、レブロン・ジェームズは

映画の最強キャラクターを仲間にして、究極のスポーツバトルに挑む!

この映画の楽しみは、特別出演、

そして友情出演のキャラクターをひとつでも多く見つけることだろう。

さきのキャラクター以外にもごまんと登場するから画面から目が離せない。

往年の映画ファンは、イングリッド・バーグマン登場で腰を抜かすだろう。


グレムリンかぁ、懐かしいなぁ。

ジム・キャリーではない安物マスクも出てきて、呆れながらも大笑い。

シブイところでは、『時計じかけのオレンジ』(1971)の不良も出てくるぞ。

正直、じっくり探すには字幕スーパーは邪魔になる。

字幕を気にせず、2度目は吹き替え版で楽しみたいと

おっしゃる方もいるだろう。

ならば、ここでご提案。

映画『スペース・プレイヤーズ』! キャラクターを探せ!大会の開催だ。

劇場内のホワイト・ボードに見つけたキャラクターをどんどん記入していく。

20個見つけたら、次回ご利用のポップコーン引換券がもらえる、とかね。


ボード周辺はワイワイガヤガヤと大賑わいになるはずだ。

(密にならないよう注意)

それにしても、レブロン・ジェームズの自然な演技にも驚く。

名プレイヤーは演技も巧いね。

イチローさんもそうだったけど(笑)

レブロン・ジェームズにあまり興味のなかった私の目当ては、ゼンデイヤ。

モデル、歌手、ダンサーとしても今一番注目される若手女優の1人。

Netflixの傑作『マルコム&マリー』の妖艶さは今なお脳裏に残るのだよ。

なぜ、アカデミー主演女優賞ノミネートにならなかったか不思議なくらい。

しかし、しかしだ。

今回ゼンデイヤの役は、ローラ・バニーというウサギの声優でした。


私を含めゼンデイヤ狂は、

10月15日公開予定の『DUNE/デューン 砂の惑星』まで待つしかないかぁ。

まずは、家族連れで『スペース・プレイヤーズ』を楽しもう。

映画館が巨大なバスケット競技場に変わる。

キンキンに冷えた劇場内に何十万ものキャラクターが待っている。

(武茂孝志)

スペース・プレイヤーズ

8月27日(金)字幕/吹替同時公開

配給:ワーナー・ブラザース映画

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