『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』映画レビュー

『ジュラシック』シリーズにいつもワクワクさせられるのは、恐竜たちのダイナミックで美しい姿だ。『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』も、もちろんそうだ。スリルと興奮を十分に味わえる娯楽作品であり、体験型アトラクション映画としても楽しめる。このシリーズを劇場で見るのもラストだと思うと、少し寂しい気持ちにもさせられる。

ホラー、冒険、スリラー、パニック、アクションエンタメとしての要素が、バランスよく配置されていて、一作目の『ジュラシック・パーク(1993)』、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997)』を監督した、スティーヴン・スピルバーグ作品を彷彿とさせる。

しかも今回は、新シリーズ三部作のクリス・ブラッド(オーウェン)、ブライス・ダラス・ハワード(クレア)コンビに加えて、前シリーズのサム・ニール、ローラ・ダーン、加えて、ジェフ・ゴールドブラムも登場、変わらぬ姿を見せてくれる豪華さだ。

恐竜たちは、人間たちの楽しみのため、アトラクションの呼び物として遺伝子工学で生み出された。彼らが一旦解き放たれた時、人間たちに牙をむく。科学技術を適切に使いこなせない人間側を問題視するのは、原作者である故マイケル・クライトンの多くの作品で描かれてきた。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』の場合は、解き放たれた恐竜以上の問題となるのは、遺伝子改変されたイナゴだ。このイナゴたちが空を覆うとき、襲ってくるのは食料危機。それは恐竜以上に大きな問題となる。

さらに、前作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』で助け出したメイジーのその後と、彼女の本当の正体が、作品のテーマでもある。恐竜やイナゴと同じく、クローン操作で生み出された少女という衝撃はどういう最後をもたらすのか。

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』は、イナゴとクローンが大きなテーマとなっていて、そういう意味では恐竜たちが闊歩する様子は、二番目の要素となっている。多少本筋から離れてしまっているという意味もあり、そこは少し残念だった。

(オライカート昌子)

関連記事
ジュラシック・ワールド/炎の王国を3倍楽しむためのポイントは? あらすじとみどころ、映画レビュー(感想)

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
(C)2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.
(C)2022 Universal Studios and Amblin Entertainment. All Rights Reserved.
7 月 29 日(金)全国超拡大ロードショー!
配給:東宝東和
【出演】クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、
ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニール、ディワンダ・ワイズ、マムドゥ・アチー、
BD・ウォン、オマール・シー、イザベラ・サーモン、キャンベル・スコット、
ジャスティス・スミス、スコット・ヘイズ、ディーチェン・ラックマン、ダニエラ・ピネダ
【監督】コリン・トレボロウ
【脚本】エミリー・カーマイケル、コリン・トレボロウ
【キャラクター原案】マイケル・クライトン
【ストーリー原案】デレク・コノリー、コリン・トレボロウ
【製作】フランク・マーシャル、パトリック・クローリー
【製作総指揮】スティーヴン・スピルバーグ、アレクサンドラ・ダービシャー、コリン・トレボロウ