『ハウ』映画レビュー

”犬の映画”には、心地いい映画が多い。特に『ハウ』はいい気分のために、選んで欲しい映画だ。

原作・脚本は、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『サムライマラソン』の斉藤ひろし。監督・脚本は、『のぼうの城2011』、『引っ越し大名!2019』などの犬童一心。主演に田中圭。

子犬の時に声帯を切り取られ、吠える声が”ハウ”に聞こえるため、名づけられた犬のハウ。民夫がハウに出会ったのは、人生最大級の落ち込みを経験しているときだ。結婚を予定して家まで購入したのに、直前で振られてしまう。勧められて飼うことにしたのが、ハウだ。

ゆっくりと心を癒してくれるハウとの毎日は、喜びに溢れたものだった。だが、ある日ハウは姿を消してしまう。民夫の日々は再び光が消えてしまったようになる。再びハウに出会う日は来るのだろうか。喜びが訪れる日はくるのだろうか。

ハウは、ボールを追いかけて、トラックの荷台に迷い込み、列島の最北端はで運ばれていた。それからハウの旅が始まる。再び民夫に会うために列島を縦断する。様々な人々に会い、彼らの心に大きなものを残しながら。

福島県の海沿い、震災以来の家に一時帰宅する少女。彼女は、避難しているけれど、馴染めない。学校へも行きたくない。ハウは彼女に寄り添う。


昔は賑やかだったのに、今は開いている店がほとんどないシャッター街。傘屋を営む女性のところにハウがやってくる。ハウの訪れは、彼女に今は亡き夫を思い出させる。

DV被害の女性を匿う施設にハウがやってくる。そこでハウが会ったのは思いがけない女性だった。一つ一つのエピソードが心温め時に涙を流させてくれる。ハウは、まるで守護天使のようだ。優しさが心に染み入る。

しかし、ハウのストーリーで一番心に残るのは、最後の最後だったりする。このラストは心憎い。これ以上はないラストではないか。

(オライカート昌子)

ハウ
公開表記:8月19日(金)全国ロードショー
原作:『ハウ』斉藤ひろし(朝日文庫)
出演:田中圭 池田エライザ 野間口徹、渡辺真起子、モトーラ世理奈、深川麻衣、長澤樹、田中要次、利重剛、伊勢志摩、市川実和子、田畑智子、石田ゆり子(ナレーション)、石橋蓮司、宮本信子
監督:犬童一心
脚本:斉藤ひろし 犬童一心
音楽:上野耕路
主題歌:GReeeeN「味方」(ユニバーサル ミュージック)
企画・プロデュース:小池賢太郎
プロデューサー:丸山文成 柳迫成彦
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
製作幹事:ハピネットファントム・スタジオ 東映
配給:東映
公式HP:haw-movie.com
公式Twitter&公式Instagram&公式TikTok:@haw_movie2022
映画クレジット:(C)2022「ハウ」製作委員会