『架空の犬と嘘を付く猫』とは
原作は、『川のほとりに立つ者は』で本屋大賞にノミネートされた寺地はるなの同名小説。文庫化もされた人気作を映画化したのは、『愛に乱暴』で世界の映画祭を沸かせた森ガキ侑大監督。
主人公・羽猫山吹を高杉真宙。山吹の幼なじみ、佐藤頼に伊藤万理華、山吹の初恋の相手・遠山かな子に深川麻衣、母・雪乃に安藤裕子、姉・紅に向里祐香、父・淳吾に安田顕、祖母に余貴美子、祖父に柄本明。
『架空の犬と嘘を付く猫』映画レビュー あなたの視線はどこへ向いている?
大切な相手が苦しんでいたら、何としても穏やかさを取り戻してほしいと思う。そのためにたとえ自分が嘘をつくことになっても。映画『楓』はそういう映画だった。『架空の犬と嘘を付く猫』にもそういう部分があるけれど、『架空の犬と嘘を付く猫』は人と人との結びつきを緩やかに優しく描いているところに特色がある。
佐賀県に住む家族の姿が1988年からゆっくりと変化していく。祖父母、父母、姉と暮らす主人公羽猫(はねこ)家の長男・山吹(やまぶき)(高杉真宙)は、最初は小学生。過去に悲劇もあった家族だが、一見平穏だ。タッチは自然で微笑ましい。
『架空の犬と嘘を付く猫』では、みんなが違う方向を見ている。あるべき姿、好きなこと、好きな人の方へどうしても視線が行ってしまう。そんなチグハグさは、気づいてなくてもよくあることで、誰もが抱えていることなのかもしれない。同じ方向を見ること、お互いを見ることは、奇跡的なことなのだと思い知らされた。
山吹には好きな人がいる。先輩だ。山吹を好きな人もいる。山吹は、彼を好きなはと付き合うことになったけれど、先輩に呼ばれると、フラフラと言われるがままに行ってしまう。
『架空の犬と嘘を付く猫』は、違う方向を見るちぐはぐさから、同じ方向を見る奇跡へと向かう映画なのだ。だがその前に、自分がどこを見ているのか気づく必要がある。そしてその前に一度、自分の姿に目を向ける段階もある。自分がどこを見ているのかわかると、人が見ている先にも気づく。丸はゆっくりそれを経験していく。個人的には、架空の犬のエピソードは宝物になりそうな輝きで心に染み渡った。
『架空の犬と嘘を付く猫』あらすじ
佐賀県に住む羽猫(はねこ)家。一見平穏に見える家族だったが、問題を抱えていた。かつて下の息子を亡くしたことから、その事実を受け入れられない母、父は変わってしまった妻を受け入れられない。愛人のもとへと去り、祖父は裏山に遊園地を作ろうという現実離れした夢を語り、祖母は骨董屋で「嘘」を扱っている。唯一まともに見える姉の紅は、すべてに反抗し、ある日姿を消してしまった。
架空の犬と嘘を付く猫
監督:森ガキ侑大 (愛に乱暴)
脚本:菅野友恵
原作:寺地はるな『架空の犬と嘘をつく猫』(中央公論新社刊)
音楽:Cali Wang
製作幹事・配給:ポニーキャニオン 制作プロダクション:ヒューマックスエンタテインメント ホリプロ
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
©2025 映画「架空の犬と嘘をつく猫」製作委員会
2025 年/日本/125分/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/PG12




