フォーリング ５０年間の想い出とは 作品解説・あらすじ
フォーリング ５０年間の想い出とは
『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のアラゴルン役で世界的に注目を浴び、『グリーンブック』で実力を世に示した、名優ヴィゴ・モーテンセンが、出演のみならず、監督、脚本、音楽も担当。
『フォーリング ５０年間の想い出』では、田舎で農場を経営し、認知症を発症した父との関係を瑞々しい映像で描いています。
毒舌家の上、独善的な父ウィリスを『エイリアン ２』のランス・ヘンリクセン。妹サラには、「マイ・ライフ、マイ・ファミリー」のローラ・リニー。
フォーリング 50年間の思い出 あらすじ
パイロットのジョンはロスでパートナーのエリック、養女モニカと暮らしていた。あるとき、田舎で農場を営む父親のウィリスが、ジョンに付き添われ、飛行機でロスにやってくる。ウィリスは、一人暮らしで認知的にも不安な状況だった。ジョンには、年老いた父に近くに住んでほしいという願いがあった。
時はさかのぼる。子どもが生まれたばかりのウィリスとグゥエンの日々。すくすくとわんぱくに育ったジョンのあどけない姿。だが、幸せな日々は長く続かない。グゥエンは子どもを連れて家を出ていくことに。その後、何があったのか。現在のウィリスは何を思い、この先の生をどのように生きていくのか。
フォーリング 50年間の思い出 映画レビュー
詩人が映画を作ったら、混乱と美と静けさの調和が生まれた
『フォーリング 50年間の思い出』は、俳優、監督、写真家、音楽家、詩人とマルチな才能を誇るヴィゴ・モーテンセンの初監督作。彼の才能と創造の力が伸びやかに漂っている。爽やかな香りが残る作品だ。
田舎の農場から、ロスにやってきた父、ウィリスは、認知に不協和音が混じり、不穏で卑猥な言葉ばかりが口から飛び出す。一匹オオカミの農場主として生きてきた誇り高さもある。
ウィリスを周囲は複雑な心境で見るのと同時に、軽く受け流すように訓練もしているようだ。見えにくい内面の戦いは、映画の見どころでもあり、スリリングな瞬間でもある。ジョンの養女、モニカは、ウィリスの下ネタにビクともしないが、ジョンの妹、サラの話題を変えようとする様子には強い決意と長年の努力が見え隠れして、心苦しさと凄まじさもす感じる。
一転回想シーンは、悲しみおかしみと美しい自然の在り様が描かれていて涼風が吹く。現実と思い出が交互に描かれ重なり合う様子の調和具合は見事。
(オライカート昌子)
フォーリング 50年間の想い出
(C) 2020 Falling Films Inc. and Achille Productions (Falling) Limited· SCORE (C)2020 PERCEVAL PRESS AND PERCEVAL PRESS INC. · A CANADA – UNITED KINGDOM CO-PRODUCTION
2020年製作／112分／カナダ・イギリス合作
原題：Falling
配給：キノシネマ
