『ソングバード』映画レビュー

ソングバードとは
「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイ製作作品。「ネバダ・バイオレンス」のアダム・メイソンが監督したパンデミック・スリラー。

2020年の実際にロックダウンされていたL.A.で撮影されていることにも注目。主演はK・J・アパ、共演にソフィア・カーソン、クレイグ・ロビンソン、ポール・ウォルター・ハウザー。そして、デミ・ムーアが久しぶりに姿を見せてくれる。

ソングバード映画レビュー
『ソングバード』の主人公ニコ(K・J・アパ)は、自転車で街を疾走する。ひとけはなく、街は荒廃している。なぜ彼は急いでいるのか、街に何が起きているのか。疑問の答えは、コロナ禍だ。

ロックダウンされた街で、人は自由に歩けない。陽性者がでると、近隣住民は、Qゾーンに隔離される。生きて帰ることの保証がない場所だ。ニコは数少ないウイルス免疫者として、黄色のバンドを持ち、それを腕に巻いている。自由に動ける特権の証明だ。ニコは、自転車で宅配の仕事をしているのだ。

『ソングバード』は、ソーシャルディスタンスが強化管理された、荒廃した世界での愛と希望を描いた、サスペンスエンターテイメント。主人公は一般人。元司法研修生で、今や自転車配達人のニコが、不可能に近い企てにチャレンジする。心意気と勇気と愛が結集したエネルギーが最後まで持続する。

ニコは免疫者として仕事をしているが、街は危険に満ちている。だから急ぐ。早く家に帰りたくもある。ガールフレンドがいて、落ち着いて会話するのを楽しみにしている。一度も会ったことはないガールフレンド、サラ(ソフィア・カーソン)だ。

免疫を持たないサラは、家の中で祖母とともに引きこもっている。ニコはサラに会いに行くけれど、扉越しに会話するだけだ。絵が好きな彼女のために持っていくのは、昔のオフィスで見つけた色鉛筆。それはもはや貴重品。

でも、この世界で一番貴重なものは、ニコが持つ、免疫証明の黄色のバンドだ。闇で偽造バンドも取引されている。ニコも偽造バンドが、必要になる。サラのアパートで陽性者がでてしまったため、彼女が強制隔離の危険にさらされたためだ。

愛のために、一般人ニコは、闘いに挑むことになる。ニコ以外の登場人物もみな、ウイルスの蔓延とロックダウンのため、普通の生活を無理やり奪われている。その痛みに関わらず、それぞれの戦いに直面していく。

人は常に、それぞれのチャレンジに向き会って生きている。それを改めて思い出させられる。状況に関わらず、常に敵は、外側にいるように見えて、内側にいる。だから、「決してあきらめず」に挑戦する。目の前の障害を越えるのが不可能に見えるなら、なおさらだ。扉越しの恋人たちの、扉を超える闘いは、かなり熱い。

(オライカート昌子)

ソングバード
10/7(金)、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開
提供:WOWOW   配給: ポニーキャニオン
© 2020 INVISIBLE LARK HOLDCO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
出演:KJ・アパ ソフィア・カーソン クレイグ・ロビンソン ブラッドリー・ウィットフォード ピーター・ストーメア アレクサンドラ・ダダリオ ポール・ウォルター・ハウザー デミ・ムーア
製作:マイケル・ベイ 
監督・脚本:アダム・メイソン 
共同脚本:サイモン・ボーイス
2020年/アメリカ/英語・スペイン語/5.1ch/シネスコ/84分/原題:SONGBIRD/