スプラッター映画の金字塔、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』のリメイクだからこそ、まずまずの出来では許されない。今回はプロデューサーに回ったサム・ライミは、そんなふうに思っていただろう。そんな心意気を、ちゃんと汲み取って形にしたのは、新人のウルグアイ出身監督フェデ・アルバレスだ。
結果、ジェットコースターホラーともいうべき、ごきげんな作品になった。映画は面白くなくてはならない。ホラーだってそうだ。怖いだけではなく、残酷描写が畳み掛けてくる圧倒的な物量感があったっていい。そんな意気込みがスクリーンの向こうから襲ってくるわけだ。
森の中の古びた小屋。子供時代を母とともにそこで過ごした兄妹と、その知り合いがやってくる。目的もある。麻薬中毒で苦しむ妹をそこで治療させるためだ。
小屋の由来や兄妹と仲間の人間関係が語られるまもなく、死者の書が発見され、封印が解かれ死霊は蘇る。妹のミアが憑依されるまでのドライブがかったスピード感がたまらない。
その後の一人、一人と襲われていくところはセオリー通り。見せ方や死なせ方の工夫はさすがで、一瞬たりと飽きさせない。ホラー映画なのに、もうちょっと見ていたいと思わせられた。
オリジナルから30年余りで、死霊のはらわたはB級作品からA級作品へ格上げされたような感じである。必然性のある設定のおかげか丁寧な作りのせいか、どことなく品もあるのが特徴だ。
ところで、誰もが気になる”あの人”もちゃんと登場する。あの人は(つまりブルース・キャンベルのことだが)、今回はプロデューサーも兼ねている。この調子では続編もあるに違いない。新たなシリーズがスタートするのだろうか? (オライカート昌子)
死霊のはらわた
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
5月3日(祝・金)より新宿ピカデリー他全国公開!
R18+
オフィシャルサイト http://www.harawata.jp/