『WAR ウォー!!』を3倍楽しむためのポイントは? みどころとあらすじ、映画レビュー

『WAR ウォー!!』映画レビュー

ボリウッドでは、映画作家たちが、これでもかと絶好の球を繰り出しては、黄金時代を謳歌している。CGやアメコミ原作、中国資本に頼ったハリウッド映画をものともしないエネルギーを感じさせてくれる。

そんな中、『バーフバリ』シリーズのブラバース主演超大作映画、『サーホー』をしのぎ、2019年インド国内映画興行収入1位となったのが、正統派アクション映画の『WAR ウォー!!』だ。

勇気、信頼、裏切り、目くらまし、悲劇、崇高さ。テーマは深い。

どんでん返し、きらびやかでスタイリッシュ、超ダイナミックなアクション、オマージュに満ちた映像美で魅了してくれる。

リティク・ローシャン、タイガー・シュロフの二大スターが、しのぎを削るアクションシーンは、構図の端正さと、そこはかとなく感じられる気品にため息がでる。

大規模なアクションシーンずくめなのにもかかわらず、どのシーンでも、細心の注意を払って作られているのが感じられる、そんな作品はあまり覚えがない。

シッダールト・アーナンド監督が、今まで受けてきたアクション映画からの恩恵を、オマージュとして捧げ、元の映画を超える心意気と尊敬の念を込めて作っている。そんな風に思えてくる。

数々の映画への愛、アクションへの愛着、祖国への愛情、そして国にささげられた命への感謝。気づきにくいけれどありふれている、ごく普通の生活にある幸せ。それらが伝わってくる作品だ。

『WAR ウォー!!』を10倍楽しむポイントは?

『WAR ウォー!!』あらすじ

インド対外諜報を行う分析部、RAWに衝撃的なニュースが入る。信頼が厚かったトップ諜報員のカビール(リティク・ローシャン)が、命令に背いて、味方の上官を襲い逃亡。彼に何が起きたのか。

カビールのチームの部下として、共に戦ってきたハーリド(タイガー・シュロフ)が、カビール追撃に名乗りを上げるが、上官の大佐には、気がかりなことがあった。

ハーリドは国を裏切った元スパイの息子だった。そして、父親を抹殺したのが、カビールだった。ハーリドは父のような裏切り者にはならない、祖国のために死力を尽くすことを、カビールに証明しなければならなかった。

対テロリストの数々の戦いを通して、二人は、次第に信頼を築きあげるようになっていった。

自分を信頼し、チームの一員として迎え入れてくれた、カビール。敵としてハーリドは、戦うことができるのか。そして、カビールの行動の裏にある真相とは。二人の戦い(WAR)が今、始まった。

『WAR ウォー!!』を10倍楽しむポイント1 リティク・ローシャン、タイガー・シュロフ。次世代スターの演技・アクション・ダンス合戦に注目。

インド映画のボリウッドでは、長く1965年生まれの、三人のカーン、アミール・カーン、シャー・ルク・カーン、サルマン・カーンが、トップを張ってきました。

長く人気を誇り、名作人気映画を支えてきた三人ですが、50代半ば。そろそろ若手が対抗してきてほしいところ。

そこに、疾風のように現れたのが、『バーフバリ』のブラバースです。現在、40歳のブラバースは、野性味と繊細さを兼ね備えた存在。

ブラバースに負けじと、持ち前の恵まれた容姿で登場したのが、現在46歳のリティク・ローシャン。、いくつもの賞もとり、人気も十分ながら、長く三人のカーンを抜きそうで抜けない立場に甘んじてきました。

『WAR ウォー!!』では、極め付きのアクションで、天下を取るには十分な貫禄を見せてくれています。

リティク・ローシャンの向こうを張ってダブル主演を果たしているのは、若手の注目株、タイガー・シュロフ。

アクションとダンスのキレの良さは抜群。少し憂いがかった容姿と演技力も際立っています。

『WAR ウォー!!』を10倍楽しむポイント2 わかりやすいストーリー。どんでん返しの伏線も見破れるかも。

インド映画といえば、どんでん返しや、驚きの展開がお約束。時には、複雑怪奇にストーリーが二転三転していって、話についていけなくなる場合もあるほど。

観客を楽しませるためには、なんでもあり!というぐらい、もりだくさんに楽しませてくれるのがインド映画でもあるのです。

『WAR ウォー!!』もどんでん返しがあるのですが、とてもわかりやすい。どんでん返し自体が、テーマを強化してくれている、なくてはならないものとなっています。

見ていて、ん? って思うところがあったら、きっとどんでん返しの伏線ですよ。そういうところ、ルール順守の気概を感じさせてくれます。

『WAR ウォー!!』を楽しむポイント3 アクション映画愛とオマージュの数々

まず、驚かされるのが、ハーリドを演じるタイガー・シュロフの一番最初のアクションシークエンスがワンテイク。

監督のアクションへのこだわりを感じさせます。

大規模アクション映画へのオマージュの数々にも注目。『007』シリーズ、『ミッションインポッシブル』シリーズ、『ボーン』シリーズ、『ワイルド・スピード』シリーズを彷彿とさせるシークエンスがたっぷり。

特に1990年代からののジョン・ウー監督作品のオマージュが特に目立ちます。『ブロークン・アロー』、『フェイス・オフ』、『ミッション:インポッシブル2』など。できれば、大画面でたっぷり楽しみたい作品なのです。

(オライカート昌子)

『WAR ウォー!!』
WAR (C) Yash Raj Films Pvt. Ltd.
7月17日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!

原題:War
監督:シッダールト・アーナンド
出演;リティク・ローシャン、タイガー・シュロフ、ヴァーニー・カプールほか
配給:カルチュア・パブリッシャーズ2019年製作/151分/G/インド
配給:カルチュア・パブリッシャーズ/配給協力:インターフィルム/宣伝:アティカス