『シェルビー・オークス』映画レビュー 突き進む意思

欧米ホラー映画をいくつも見ていると、恐怖の大元が限られたものだとわかってくる。日本やアジアのホラーの場合、変化球もあれば、個人的なものもあり、恐怖の種類は豊富だ。それに比べ欧米ホラーのバリエーションは少なく、むしろ恐怖の根源が限られたものなので、アレンジや描き方の多様性をより楽しむことができると言えそうだ。

例えば、A24の『悪魔と夜更かし』や、『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』など、根源は同じだけれど個性的。それなら『シェルビー・オークス』はどうだろう。

『シェルビー・オークス』にも特徴がある。ジェームズ・ワン監督の『マリグナント 狂暴な悪夢』のように、姉妹ものであり、M・ナイト・シャマランの娘、『ザ・ウォッチャーズ』のように、先行き不明感と森林や廃墟が舞台となる点だ。

姉妹ものとしての『シェルビー・オークス』は、消えた妹を姉が12年間探し続けるストーリー。廃墟ものとしては、舞台となるシェルビー・オークスが、森の中にひっそりとたたずむ廃墟の街として描かれていること。遊園地や刑務所があり、森も深い。先行き不明感も最後まで続く。そのエンジンの持続感こそ『シェルビー・オークス』の核でもある。

12年間妹を探し続ける姉の執念の強さは、相当なものだ。まず、ビデオテープを血まみれになりながら見続けるところに驚かされたき、夜の刑務所や森をひるまず進む。その突き進む意思がどこまで続くのか。最後の恐怖のもとが明かされた時、欧米のホラースリラーの恐怖のもとが限られているという考えは、浅はかだったかなと思わされた。

シェルビー・オークス
2025年12月12日(金)公開
脚本・監督:クリス・スタックマン エグゼクティブプロデューサー:マイク・フラナガン 
原案:サマンサ・エリザベス&クリス・スタックマン
出演:カミール・サリヴァン、ブレンダン・セクストン三世、キース・デヴィッド、サラ・ダーン、デレク・ミアーズ、エミリー・ベネット、チャーリー・タルバート/ロビン・バートレット/マイケル・ビーチ
2025/英語/91分/シネスコ/カラー/5.1ch/原題:Shelby Oaks/日本語字幕:杉山緑
配給:KADOKAWA
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