
良い俳優を揃えた映画はそれだけで価値を上げる。良い俳優とは、人気があるとか、最近良く見るかどうかは関係なく、映画との相乗効果を最大限に引き出してくれる俳優だ。『次元を超える』は、その点で大きな驚きがあった。メインのキャストに窪塚洋介、松田龍平。そして最近では『中山教頭の人生テスト』で意外な姿を見せてくれた渋川清彦、『Winny』での品格ある演技も忘れがたい東出昌大。千原ジュニアの出演は、うさんくささを漂わせる。
窪塚洋介、松田龍平の二人は、黙ってよし、歩いてよし、対峙してよし。豪華な俳優陣が、映画『次元を超える』の見応えを増大させる。内容は類を見ない。量子力学から精神世界をバックボーンにハードボイルドの世界を繰り広げる。攻める映画だけど、行き過ぎるわけでもない。ほど良い加減に攻める。
孤高の修行者・山中狼介(窪塚洋介)は、危険な宗教家・阿闍梨(千原ジュニア)の家で行方不明になる。一方、謎の暗殺者・新野風(松田龍平)は、狼介の彼女・野々花(芋生 悠)から捜索を依頼された。狼介と新野は法螺貝に導かれて狼蘇山で対面次することになる。
豊田利晃監督が。脚本も兼ねている。『次元を超える』は、『泣き虫しょったんの奇跡』(18)以来となる7年ぶりの長編フィクション作品であり、2019年9月に公開された短編『狼煙が呼ぶ』(19)から始まる「狼蘇山(おおかみよみがえりやま)シリーズ」の集大成。
『次元を超える』のストーリーは独特だが、音楽の良さも格別。法螺貝と太鼓が骨太リズムを刻み、メインは70年代頃を想起させるジャズベース。舞台が繰り広げられる山は、滝や緑でマイナスイオンがスクリーンから溢れ出てくるようだ。
次元を超える
0月17日(金)よりユーロスペースほか全国にて順次公開
配給:スターサンズ
©次元超越体/DIMENSIONS
窪塚洋介 松田龍平
千原ジュニア 芋生 悠 / 渋川清彦 東出昌大
板尾創路 祷キララ 窪塚愛流(声の出演) 飯田団紅 マメ山田
監督・脚本・エグゼクティブプロデューサー:豊田利晃
エンディングテーマ:「抱きしめたい」The Birthday(UNIVERSAL SIGMA)